『海に眠るダイヤモンド』第4話で、百合子が恋愛に踏み込めない理由が明かされました。ここが切なくて、しばらく引きずりました。この回について感じたことと、その背景にあるものを考えていきます。
ドラマ『海に眠るダイヤモンド』第4話あらすじ
島での生活が続くなか、それぞれの想いが交錯していく回です。前に進もうとする者と、動けずにいる者の対比が描かれ、百合子が抱えていた事情も明らかになります。
【感想】「言えない」を丁寧に描く回だった
この回、告白する場面より、告白できない場面のほうがずっと多いんですよね。
言いかけてやめる、目を合わせない、別の話にすり替える。大きな出来事が起きないぶん、表情と間だけで見せてくる。日曜劇場としてはかなり静かな回でしたが、私はこういう回がいちばん好きです。
土屋太鳳の抑えた芝居
百合子という人物は、本心を出しません。明るく振る舞っているぶん、事情が分かったときの落差が大きい。
土屋太鳳さんは、明るさを演技として見せるのではなく、本当に明るい人として演じます。だから裏にあるものが見えた瞬間に、それまでの全場面の意味が変わるんですよね。
【考察】百合子が動けない理由は時代の側にある
私は、百合子の事情は個人の問題ではなく、当時の社会が個人に押しつけたものだと考えています。理由が2つあります。
理由①島は「逃げ場のない場所」である
この島は狭く、全員が顔見知りで、噂はすぐに広がります。選択の自由が、物理的に制限されている。
都会なら距離を取れることも、ここではできません。だから一度背負ったものを降ろす機会がない。場所の閉鎖性が、そのまま人生の閉鎖性になっているんですよね。
理由②女性の側に選択肢が少ない
もうひとつ、当時この島で女性が選べる進路がどれだけあったかという問題があります。働き方も、住む場所も、結婚も、選べる幅が狭い。
百合子の我慢は、彼女が控えめな性格だからではありません。そうするしかなかったからです。ここを個人の性格の話にしなかったのが、この作品の誠実さだと思います。
【考察】この回が全体に効いてくる理由
本作は、失われた島を描く物語です。そして失われるのは建物だけではありません。
そこで起きなかった恋、選べなかった人生、言えなかった言葉。記録に残らないのは、起きなかったことのほうなんですよね。この回は、その「起きなかったこと」に正面から時間を使っています。だから地味なのに、作品全体の主題と直結していると思います。
ドラマ『海に眠るダイヤモンド』第4話登場人物
- 鉄平(神木隆之介):端島生まれ。鷹羽鉱業の職員に。
- 玲央(神木隆之介):ホストクラブ「Heaven’s Jail」のホスト。
- 進平(斎藤工):鉄平の兄で炭鉱員。
- 朝子(杉咲花):銀座食堂の看板娘。鉄平に思いを寄せる。
- リナ(池田エライザ):端島へ来た謎の女歌手。
- 賢将(清水尋也):鉄平の親友でライバル。鷹羽鉱業幹部職員の息子。
- 百合子(土屋太鳳):鷹羽鉱業職員の娘。過去を抱える。
- いづみ(宮本信子):玲央にプロポーズし長崎へ連れていく謎の婦人。
- ハル(中嶋朋子):鉄平と進平の母。
- 一平(國村隼):ベテラン炭鉱員で鉄平と進平の父。
- 寿美子(山本未來):百合子の母。
- 辰雄(沢村一樹):鷹羽鉱業幹部職員。賢将の父。
- 和尚(さだまさし):端島唯一の寺の和尚。
- 廣田(渡辺憲吉):炭鉱長。
- 松原(大下ヒロト):鉄平の同僚職員。
- 和馬(尾美としのり):IKEGAYA株式会社役員。池ヶ谷家の長男。
- 鹿乃子(美保純):IKEGAYA株式会社役員で和馬の姉。
- 澤田(酒向芳):秘書。
- 雅彦(宮崎吐夢):鹿乃子の夫でIKEGAYA株式会社役員。
- ミカエル(内藤秀一郎):ホストクラブのナンバー2。
- ライト(西垣匠):玲央の後輩で友人のホスト。
- 星也(豆原一成):和馬の息子で法学部を目指す浪人生。
- 千景(片岡凜):鹿乃子と雅彦の娘で医学部に合格。
- アイリ(安斉星来):ミカエルの客で高級キャバクラ嬢。
ドラマ『海に眠るダイヤモンド』第4話スタッフ・主題歌
- 脚本:野木亜紀子
- 音楽:佐藤直紀
- 主題歌:King Gnu「ねっこ」
- 演出:塚原あゆ子、福田亮介、林啓史、府川亮介
- プロデュース:新井順子、松本明子
- スーパーバイザー:那須田淳、岡崎吉弘
- 編成:中井芳彦、後藤大希
- 制作協力:NBC長崎放送
- 製作:TBSスパークル、TBS
第4話は「起きなかったこと」を描いた回
というわけで、『海に眠るダイヤモンド』第4話の感想と考察でした。派手な展開のない回ですが、この作品の芯が最もよく出ていた回だと思います。皆さんはどう見たでしょうか。
