『アンチヒーロー』第7話は、明墨のやり方がいちばんはっきり見えた回だったと思います。法廷ではなく、相手の内部を割ることで勝ちにいく。この回について感じたことと、明墨の手口について考えていきます。
ドラマ『アンチヒーロー』第7話あらすじ
明墨たちが次の標的に迫るなかで、相手側の人間関係に揺さぶりをかけていく回です。追い詰められた側が互いを切り捨てはじめ、そこから12年前の件に近づく手がかりが見えてきます。
【感想】長谷川博己の「静かな攻撃性」
明墨という人物は、声を張りません。相手が怒鳴っても、こちらは平坦なまま言葉を返す。この温度差だけで場を支配してしまう。
長谷川博己さんの芝居は、正しさを主張する弁護士のそれではないんですよね。正しさではなく、勝ち方の話をしている顔をしている。だからタイトル通りのアンチヒーローとして成立しています。
野村萬斎の切り捨て方が怖い
対する伊達原の振る舞いも印象的でした。助けを求めてきた相手を、穏やかな口調のまま見捨てる。
怒鳴って突き放すより、丁寧に扱いながら切るほうがはるかに冷たい。ここは芝居の質で見せる場面だったと思います。
【考察】明墨の戦い方は「法廷の外で勝つ」こと
私は、明墨の本当の武器は弁論ではなく、人間関係の設計だと考えています。理由が3つあります。
理由①法廷の場面が意外と少ない
この作品、弁護士ものなのに法廷で決着がつく回はそれほど多くありません。勝負がついているのは、たいてい法廷に入る前です。
証拠を出す前に、相手陣営が自壊している。つまり明墨がやっているのは弁護ではなく、条件づくりなんですよね。
理由②標的ではなく「その周り」を崩す
今回もそうですが、明墨は本丸に直接攻め込みません。周囲の人間に働きかけて、本丸が孤立する状況を作る。
切り捨てられた側が怒りを爆発させ、結果として内部情報が外に出る。自分の手を汚さずに相手を喋らせるというやり方が徹底しています。
理由③味方にも全部を明かさない
3つ目が重要で、明墨は自分のチームにも計画を共有しません。
赤峰たちは、動いた後で意味を知ることになる。知らないほうが自然に動けるからだと思いますが、これは信頼とは違うものですよね。この危うさが、終盤に効いてくるはずです。
【考察】12年前の件が本丸である理由
一連の動きは、どれも過去のある事件に向かっています。つまり今回の標的も、通過点でしかない。
そう考えると、明墨が検事から弁護士になった理由もここに結びつきます。組織の内側では覆せなかったものを、外側から壊しにきている。制度を信じられなくなった人間の物語として読むと、この作品はかなり一貫していると思います。
ドラマ『アンチヒーロー』第7話登場人物
- 明墨正樹(長谷川博己):弁護士。過去に検事だったことがある
- 赤峰柊斗(北村匠海):弁護士
- 紫ノ宮飛鳥(堀田真由):弁護士
- 白木凛(大島優子):パラリーガル
- 青山憲治(林泰文):パラリーガル
- 志水裕策(緒形直人):獄中の男
- 紗耶(近藤 華):志水の娘
- 緋山啓太(岩田剛典):ある事件の容疑者
- 緑川歩佳(木村佳乃):東京地方検察庁の検察官
- 伊達原泰輔(野村萬斎):東京地方検察庁のトップ検事正
第7話は明墨の手口が見えた回
というわけで、『アンチヒーロー』第7話の感想と考察でした。回を追うごとに、明墨が何をしようとしているのかがはっきりしてきますね。皆さんはどう見たでしょうか。
