ドラマ『9ボーダー』は、29歳・39歳・19歳という「9のつく年齢」の三姉妹を描いた作品です。年齢の区切りで人生を測ってしまう感じ、分かりますよね。各話を簡単にまとめたうえで、この設定が何を狙っていたのかを考えます。
ドラマ『9ボーダー』あらすじ
父が置き手紙を残して家を出たことから、残された三姉妹の生活が動きはじめます。それぞれ29歳・39歳・19歳という節目の年齢にいて、仕事、結婚、将来に迷いを抱えている。そこに素性の分からない男性が現れ、家族の形が変わっていきます。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:父が家を出る。次女・七苗は30歳までに幸せになると宣言する
- 2話:職場で結婚を話題にされ、七苗のもやもやが膨らむ。コウタロウと出会う
- 3話:長女・六月が夫との関係に決断を下す
- 4話:七苗とコウタロウの関係が進むが、彼には事情がありそうだと分かる
- 5話:コウタロウが三姉妹の家で暮らしはじめ、銭湯の再生計画が動き出す
- 6話:失踪していた父が戻り、家族構成に関わる事実が明かされる
- 7話:新しい家族を迎える過程で、三姉妹それぞれが過去と向き合う
- 8話:コウタロウの素性が明らかになり、七苗は動揺する
- 9話:コウタロウが元の生活に戻り、2人の距離が開く
- 最終話:銭湯と商店街の行く末、そして2人の関係に答えが出る
【感想】「9のつく年齢」という括り方がうまい
この設定、よく考えたなと思います。29歳と39歳と19歳。どれも次の区切りが目の前にある年齢なんですよね。
30になる、40になる、20になる。数字が変わるだけで何かが変わるわけではないのに、人はそこで焦る。その焦りだけで3人分のドラマが立ち上がる。設定が主題そのものになっている、珍しい作りだと思います。
川口春奈の「めんどくさい人」の演じ方
七苗はかなり面倒な性格の役です。焦っていて、比べていて、先走る。一歩間違えると見ていて疲れる人物になります。
それが不快にならないのは、川口春奈さんが「本人もそれを自覚している」ところまで出しているからだと思います。やってしまった後の顔が良いんですよね。
【考察】この作品が本当に言いたいのは「期限はない」ということ
私は、『9ボーダー』の主題は年齢ではなく、年齢を期限だと思い込むことだと考えています。
理由①三姉妹の悩みが同じ形をしている
19歳と29歳と39歳では、悩みの中身はまったく違います。ところがよく見ると、3人とも「この年齢までに何かしていないといけない」という形で悩んでいる。
中身が違うのに形が同じ。これは偶然ではなく、作り手がそこを主題にしている証拠だと思います。
理由②父の失踪が「やり直し」の話である
もうひとつ、父親の行動がヒントになっています。いい年齢の人物が、いまさら何かを始めようとする。
これは三姉妹の悩みに対する回答になっていますよね。何歳でも動けるし、区切りは自分が勝手に引いているだけだ、と。家族の話に見せて、実はテーマの答え合わせをしている配置だと思います。
【考察】銭湯という舞台が選ばれた理由
舞台が銭湯なのも効いています。古くて、時代に合わないと言われて、でもなくなると困る場所。
これは三姉妹が自分に対して抱いている感覚とそのまま重なります。建て直すか、畳むか、続けるか。銭湯の選択が、そのまま人生の選択の比喩になっている。うまい舞台選びだと思いました。
ドラマ『9ボーダー』登場人物
- 大庭七苗(川口春奈):29歳。大庭三姉妹の次女
- 成澤六月(木南晴夏):39歳。大庭三姉妹の長女
- 大庭八海(畑芽育):19歳。大庭三姉妹の三女
- コウタロウ(松下洸平):バルの従業員。過去の記憶を失っている
- 松嶋朔(井之脇海):新米公認会計士
- 高木陽太(木戸大聖):七苗の幼なじみ
- 立花祐輔(兵藤功海):八海がマッチングアプリで出会った男性
- 辻本あつ子(YOU):バルの店主
- 梅津剣(伊藤俊介/オズワルド):銭湯のアルバイト
ドラマ『9ボーダー』スタッフ・主題歌
- 脚本 :金子ありさ
- 音楽 :jizue
- 主題歌:SEKAI NO OWARI「Romantic」
- プロデュース:新井順子
- 協力プロデュース :阿部愛沙美
- 演出:ふくだももこ、坂上卓哉
- 製作:TBSスパークル、TBS
『9ボーダー』は年齢の呪いを解く話
というわけで、ドラマ『9ボーダー』の感想と考察でした。軽やかに見えて、扱っているのはかなり普遍的なテーマだと思います。皆さんはどう感じたでしょうか。
