ドラマ『花咲舞が黙ってない』は、銀行の不正に対して一行員が正面から物を言う話です。池井戸潤作品らしい、分かりやすい痛快さがあります。各話を簡単にまとめたうえで、今回のシリーズの特徴について考えます。
ドラマ『花咲舞が黙ってない』あらすじ
東京第一銀行の臨店班に異動した花咲舞が、相棒とともに各支店を回り、そこで起きている問題に向き合っていきます。事務ミスの指導が建前ですが、その裏にはたいてい組織ぐるみの事情が隠れています。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:舞が臨店班に異動し、相馬とバディを組む
- 2話:中年行員の処遇と、取引先の店舗計画をめぐる問題
- 3話:振込ミスの謝罪から、不審な資金の流れが見えてくる
- 4話:取引先の会社乗っ取りの危機に、舞が踏み込む
- 5話:老舗旅館の案件で、思わぬ人物が登場する
- 6話:常連客からの相談が、大きな問題につながる
- 7話:融資を断られた人物が起こした事件を調べる
- 8話:好成績の支店で起きている事務ミスの原因を探る
- 9話:銀行本体の隠蔽工作が明るみに出る
【感想】今田美桜版は「怒り方」が違う
このシリーズ、主演が変わると印象がここまで変わるのかと思いました。
今田美桜さんの舞は、怒るときに相手を見下ろしません。まっすぐ、同じ高さから言う。これが意外と新鮮なんですよね。正論を言う役は上から目線になりがちですが、そこを回避しています。
山本耕史のバディが効いている
相馬という役が良いバランスを取っています。やる気がなくて、事なかれ主義で、でも肝心なところでは動く。
主人公がまっすぐな分、横に一歩引いた人物がいないと作品が硬くなります。山本耕史さんの軽さが、その調整弁になっていると思います。
【考察】この作品が描くのは「現場と本部の断絶」
私は、このシリーズの主題は不正の告発ではなく、決める人と困る人が別だという構造だと考えています。理由が2つあります。
理由①舞の仕事が「回る」ことにある
舞の所属は臨店班、つまり各支店を回って現場を見る部署です。この設定が主題そのものなんですよね。
本部にいると数字しか見えません。現場に行くと人が見える。この往復をする役職を主人公に与えている時点で、作品が何を問題にしているかは明らかだと思います。
理由②敵が「悪人」でないことが多い
もうひとつ、各話の相手は分かりやすい悪人ばかりではありません。保身、前例、数字のプレッシャー。追い詰められた結果として不正に手を出す人が多い。
つまり個人の悪意ではなく、組織の仕組みが人を追い込んでいる。舞が怒っている相手は人ではなく構造なんですよね。
【考察】シリーズが繰り返し作られる理由
この手の作品が何度もドラマ化されるのは、問題がまったく解決していないからだと思います。
時代が変わっても、決める人と困る人が別だという構造は残る。だから何年経っても刺さるんですよね。痛快さの裏にあるのは、わりと苦い認識だと思います。
ドラマ『花咲舞が黙ってない』登場人物
- 花咲舞(今田美桜):東京第一銀行に勤める銀行員
- 相馬健(山本耕史):花咲舞の上司
- 昇仙峡玲子(菊地凛子):東京第一銀行本部に所属するエリート銀行員
- 花咲健(上川隆也):花咲舞の叔父。居酒屋の店主
ドラマ『花咲舞が黙ってない』スタッフ・主題歌
- 原作:池井戸潤「花咲舞が黙ってない」「不祥事」
- 脚本:松田裕子、ひかわかよ
- 挿入歌:あかせあかり「いつか叶えたくて」
- 音楽:菅野祐悟、得田真裕
- 演出:南雲聖一
- チーフプロデューサー:田中宏史
- プロデューサー:小田玲奈、鈴木香織、能勢荘志
- シリーズプロデューサー:加藤正俊
- 制作協力:AX-ON
- 製作著作:日本テレビ
『花咲舞が黙ってない』は構造への怒りを描く作品
というわけで、ドラマ『花咲舞が黙ってない』の感想と考察でした。安心して見られる痛快さがありつつ、問題意識はちゃんとあるシリーズだと思います。皆さんはどう見たでしょうか。
