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漫画『正直不動産』をネタバレ解説!山下智久主演ドラマ化で不動産業界の闇を解説

マンガ『正直不動産』について紹介!山下智久が主演でドラマ化されています。ドラマの情報とともに、どんなマンガなのかを紹介したいと思います!

山下智久主演でドラマシリーズ化!

2022年4月からNHK総合でドラマ化!主演は山下智久という驚きのキャスティングでした。

ただこのマンガの原案が夏原武さんで、『クロサギ』の原作者でもあるんですね。そう『クロサギ』も、山下智久の主演ドラマで、そのつながりがあるわけです。

2024年1月からシーズン2が放映されています!2024年1月9日(火)~3月12日(火) にかけて全10話。

原作『正直不動産』はどんなマンガ?

不動産業界ってあやしい。とにかくあやしい。そんな印象はないでしょうか?

実際に物件めぐりをすると、最初はダメな物件から紹介して徐々にきれいなものを。マンション見ていたら戸建てをどーんと見せて、歓声をあげさせる。そして、「明日にもいや今にもだれかが契約して物件がなくなるかもしれません」と契約を結ばせようと、迫ってきます。

こちらも焦って、どうしたものかと検討する。だけど、結果的にはずっと売れ残っている物件だったりする。営業マンがキライになる。人間不信になる。

そんな不動産業界の闇を暴く『正直不動産』は、希望の書だと思う。

不動産屋は仲介手数料ビジネスなので、契約結ぶまでが仕事。あとは、住宅ローンで疲弊しても物件に多少の不備があっても、知ったこっちゃないわけです。『正直不動産』を読むとそのことがよく分かります。

不動産は、人間生活の根幹における、住む場所を提供する。すなわちだれもが関わらざるを得ない存在といえる。そういった意味では、『正直不動産』は、誰もが読んでおくマンガ教科書といえます。それだけの価値が、このマンガにはあると断言できます。

原作『正直不動産』あらすじ

営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーー
そんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!!
登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は、嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だった。
だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、嘘が上手くつけなくなってしまった…!!
千三つと言われる海千山千の不動産業界で、かつての成績が一気に低下する中、永瀬は嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…!?
不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、誕生。

不動産業界の闇をぶっちゃける

『正直不動産』は、1エピソードが2話で完結する。物語としてはもっと読みたい気もするが、不動産の知識を得るにはちょうどいい。知識を得ることと物語を楽しむ。この2つのバランスが絶妙。

各巻から、不動産業界の闇を18個、抜粋していきます。

『正直不動産』1巻

目次

3つの契約

物件を売るとき、不動産との契約形態は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つ。

一般媒介契約だと他の不動産屋が買い手を見つけたら、不動産には1円も入らない専属専任媒介契約で囲い込みをして、レインズで売れたとことにして、両手契約にする悪質なケースもある。

ウソをつけなくなった営業マン・永瀬は、本来なら専属契約を狙わなければなのに、一般媒介契約を勧めてしまう。同僚や上司から白い目で見られるこのぶっちゃけるシーンは、『正直不動産』のおもしろみを表しているなと感じた。

不動産屋が受け取る仲介手数料

これはびっくりした。物件購入で仲介手数料は、「成約価格3%+6万円+消費税」とどこの不動産でも言われた。だが、この3%は法令で決まった上限値。すなわち、下げてもいいということ。完全に横並びの慣習でしかない。

『正直不動産』2巻

建築条件付き土地

うちで家を建てるならこの土地を売ってもいいです、というのが建築条件付き土地。

仲介手数料は土地だけ、建築工事請負代金に対する仲介手数料を請求する悪徳不動産もいるという。請負契約ではなく土地と建物の売買契約を締結しようとするケースもある。ただし、買い手のメリットもある。1本化することで金融機関のローン手続きがラクになり、建物完成後の引き渡しまで金利も発生しない。

買い主に土地の売買契約を交わさせ、業界ルールで3ヵ月以内に、売り主指定業者と住宅建築請負契約を結ばせるのが条件となる。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任も物件購入だとかなり気になる点だ。

新築なら、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が適用される。住宅の基本構造部分である基礎、土台、床、柱、雨水の侵入を防ぐ壁、屋根などは売り主が10年間、瑕疵担保責任を負うことになっている。基礎構造以外の瑕疵担保責任特約期間も、最長20年まで延ばすこともできるという。

ただし、排水については品確法では責任を問えない。作品内では、牟礼ヒルズの新築を購入を検討する夫婦が登場するが、売り主が
昔は用水地だったことを隠していて、適切な工事を行っていなかったことが判明した。

事故物件

自殺者が出た物件は、10年以内は告知することになっている。ただし、2人目の入居者は告知しなくてもいい。そして、建物を新しくした場合は告知しなくてもいい、といった解釈をする法律家も多い。殺人ならば50年は告知すべきと業界内でも言われている。

『正直不動産』3巻

ローン特約

ローンが不成立の場合、売買契約を白紙に戻せる。ローン特約は2つ。

「停止条件型ローン」は、金融機関から融資の承認が得られて始めて、売買契約が有効となる。融資の承認が得られなかった場合は、買い主に意思表示するまでもなく白紙になる。

「解除権留保型ローン」は、買い主が契約解除の意思表示をして、売り主に到達したときに契約が白紙になる。FAXか通知書か書面で伝えないといけない。

作中では営業マンの菅沼が、解除権留保型ローンを「敗者復活戦」と言っていたが、そんなやさしいものではない。

『正直不動産』4巻

リバースモゲージ

自宅を担保にして銀行などから毎月融資を受けて、借りたお金は死亡時、または契約満期時に、自宅を売却することで一括返済する仕組み。

ただし契約期間を超えて長生きすると、契約満了時に一括返済が要求されて、返済不能の場合は自宅を失うこともある。

光友銀行の融資担当の榎本が登場。リバースモゲージのメリットのみを老夫婦に伝えていたが、そこを永瀬が阻止した。

『正直不動産』5巻

AD物件

貸主や管理会社が借り主を探したいので、広告料という名目の紹介料を不動産会社に払っている物件。借り手は、仲介手数料がゼロになる。作中では、同じマンションに住んでいるのに初期費用が違うことで、発覚した。

再建築不可物件

建て直しができない物件。土地に接地している道路の問題となる。建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなくてはならない、接する道路は幅員4メートル以上でなくてはならない。ただしリフォームは可。

『正直不動産』6巻

ローンが払えなくなったら…

競売、債権者が債権回収のために裁判所に対して申し立てる。3~6ヵ月払えなくなると競売にかけられる。残った額は、請求されるので、借金が消えるわけではない

ただ任意売却を選択することもできる。所有者が自分の意思で不動産を売却することで、競売よりも売却額が高くなる傾向。

作中では、やさぐれた元同僚がローン返済ができない状態に追い込まれていた。

家賃増額

家賃増額はオーナーが勝手には決められない。正当な理由があれば認められるが、理不尽な値上げを求められた場合、拒否する権利がある。仮に契約書に書かれていても無効。一度払うと減額は無理なので要注意。

『正直不動産』7巻

タワマン

上層階の景色がきれいなどメリットは大きいが、デメリットも。資産価値がない、タワマンからタワマンへ転居するしかなくなる、大規模修繕の費用が読めない、といったことを指摘する専門家もいる。

スルガスキーム

三為業者が買い主にスルガ銀行から融資を受けさせ、次々に物件を取得しては高値で転売していった。

土地面積

「登記面積」は登記簿に記載されているものだが、租税徴収のために明治時代にはじまったものなので、測量法が違う。「実測面積」が現代の測量法で計測したもの。

管理費と管理委託料

管理費とは、物件の維持管理にかかる費用のこと。管理委託料とは、オーナーが管理業務を管理会社に委託するうえで支払う費用のこと。賃料の3~5%で不動産の大事な定期収入源となる。

『正直不動産』8巻

仲介手数料

本来は半額。借り主と貸主で、賃料1ヵ月+消費税が上限と決められている。これは衝撃的な話。払うのがバカらしくなってしまう。

『正直不動産』9巻

フラット35

居住が前提の住宅ローンであるのに、投資物件に利用されることがある。フラット35が借りやすい住宅ローンであることを利用していて悪質。

管理費滞納マンション

前所有者が支払うべきだが、新所有者に請求がいく場合もある。そのまま雲隠れでいいなんて信じられない。

巻末コラムや対談も充実している

巻末には原作者・夏原武によるコラムも掲載されている。マンガで出てくるエピソードを補足してくれる内容で、だいぶ充実している。さらに、対談を行っている場合もある。事故物件公示サイト管理人・大島てる、誠不動産代表・鈴木誠、日経マネー発行人・大口克人、不動産流通システム社長。深谷十三などが登場している。

戸建てやマンション購入するなら必読

とにかく不動産業界のカラクリを知りたいなら全巻読破がおすすめ!下手な本を読むよりも勉強になる。ストーリーも重くなりすぎないのが好印象。住む場所を探すのは、人生の大きな一部だなと実感できる。

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