なかなか読めなかったけど、ようやく読めた。
淡々とした心理描写がベースで、感情が爆発する瞬間がある。『桐島、部活やめるってよ』のトーンと似ている。
就活って、人間不信になるシステムだと思うんですよ。ならざるを得ない。
面接で落ちたとしても、はっきりした理由がよく分からない。何が悪かったか。相対評価なのか、絶対評価なのか。精神的にツラいんですよね。
この社会に、自分は必要とされていないのではないか…
絶望の淵に立たされた気持ちになるわけです。
『何者』はジワリとその辺りの心理を描いているなと。ジワリとです。
5人の登場人物が一緒に就活対策しようとするのですが、三段階に分かれます。
1.和気あいあいな時期
情報交換もできるしみんなで頑張ろうと前向き
2.ギクシャク期
最終面接にいったらしいメンバーがいるのに、それを周りに伝えないし、だれも突っ込まない
3.疑心暗鬼
内定をとる難しさを実感する。あいつよりはマシだとマウンティングの取り合い。自分より下の人間を探し出す
人間の裏と表が出てきて、たまにドロッとした嫉妬が垣間見える。このバランスが朝井さん絶妙です。イヤぁな雰囲気。
で、SNSをうまく絡めているのがまたウマいなと。裏の本音がTwitter上に吐き出される。
『何者』というタイトル通り、自分をさらけ出せるか、ダメなところを見つめることができるかを突きつけてきます。
俺って他人とは違うって、みんな思うけど、ボロボロに否定されたとき、どうするかが試される。
そういった意味では就活生だけではなく、普遍的なテーマなんですよね。
映画版が観れてないのですが、俄然観たくなっています。
気になる。
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