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『AI vs 教科書が読めない子どもたち』AI研究の最前線を学ぶ

AIはまだ存在しない。

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』は刺激的なタイトルですが、AI礼賛への警鐘を鳴らすのが本筋です。著者は、AIで東大合格できるのかなど、現場でトライしている方なので、AI研究の最前線を感じられる一冊でした。

AIとは知能を持ったコンピューター

まずは大前提。AIとはどういった意味なのでしょうか?

AIとは、artificial intelligenceの略です。一般的な和訳は人工知能。知能を持ったコンピューターという意味になります。

基本的にコンピューターが行うのは計算なんですね。

知能を持つには2つの方法しかないそうです。

  • 1.理論を積み重ねていく方法
  • 2.不確定要素により知能を手に入れる方法

これしかないの??実質、理論を積み重ねて検証に検証を重ねてという方法しかないんですね。かなり地道な作業。

で、ちょっとびっくりしたのが、ディープランニングなどの統計的手法の延長では、人工知能は実現できないということ。ディープラーニングってあれだけ騒がれているのに、その程度なのかと。

これは、「AI人工知能」と「AI技術」が混同されることから起こる誤解。A I技術はAIを実現するために開発された技術で、これはたくさん存在するわけです。AIは、知能であるから実現にはかなりのハードルがあるということですね。それだけ人間の知能は複雑で解明されてないことも多く、計算ではたどり着くのは困難なんですね。

AIの歴史を振り返る

世界で最初にAIという言葉が初めて登場したのは1956年のこと。

ダートマスで行われた伝説のワークショップで、世界初の人工知能プログラム「ロジック・セオリスト」が紹介されました。自動的に数学定理を証明するプログラムで、ここから第1次AIブームが起こります。

この時期は、プランニングと呼ばれるもので、推論と探索を繰り返す方法。チェスの世界チャンピオンを倒した「ディープブルー」も生まれましたが、迷路やパズルを解けることが限界だったそうです。

そして第2次AIブームでは、ある問題に特化したエキスパートシステムが試作されました。ただし、専門知識を入れたものの人の感情を学習することはできなかったんですね。いまは第3次AIブームにいます。ディープラーニングが注目されて、可能性としては広がってる状態です。

将来に必要な領域とは?

さて、本書のタイトルにもなっている子どもの教育についてです。著者が全国2万5000人の子どもたちに行ったテストで、読解力の低下を指摘しています。

著者が提唱しているこれから身につけるべきことは以下になります。

  • 高度な読解力と常識
  • 人間らしい柔軟な判断

これはAIの苦手領域と重なるんですね。

ただ読解力を上げるにはどうすればいいか具体的な方法は提示されないのは不満が残ります。読書習慣、学習習慣、スマホ習慣などとの読解力の相関関係は見られなかったそうです。

あとおもしろいのは、日本と海外のAI事情の違い。GoogleやFacebookには無償サービスなのでAIを活用する理由があるわけです。膨大なデータが蓄積されているので、日本はモノづくりの国なので、それほどAIの必要性がないのではないと予想していました。

おすすめ度7☆☆☆☆☆☆☆★★★

AI研究で著者がトライしていることがまとめられているので、具体的なエピソードが豊富でした。AIの最前線を感じられるので、エキサイティングです。AIを知りたいなら、読んでおくべき一冊!

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