これからの時代に求められるのはどんな思考・行動様式なのか?
著者の山口周さん曰く、「論理とサイエンス」が価値を失っていき、「美意識とアート」が求められるとしています。
オールドタイプとニュータイプの違いについて、これからの思考法や働き方、生き方が明確になっていきます。
ニュータイプとは?
まずはオールドタイプとニュータイプの違いについて整理しておきましょう。
オールドタイプ | ニュータイプ |
---|---|
正解を探す | 問題を探す |
予測する | 構想する |
KPIで管理する | 意味を与える |
生産性を上げる | 遊びを盛り込む |
ルールに従う | 自らの道徳観に従う |
1つの組織に留まる | 組織間を越境する |
綿密に計画し実行する | とりあえず試す |
奪い独占する | 与え、共有する |
経験に頼る | 学習能力に頼る補足 |
もはや正解を出す力に価値はないわけですね。
課題が山積みだった時代は、目の前の課題に向き合って問題解決するだけで、価値が生まれました。
7世紀の遣隋使のころから20世紀後半まで、日本は海外を追従すればよかった。日本の問題は海外の先進国の差分から、落ちてくるので、その問題を解決すればいいだけの状態です。戦後すぐのモノが足りない時代もそうです。海外の繁栄している国をお手本に、便利さを追い求めればよかった。
それがモノがあふれる時代を迎えて、日本も豊かになったことで、問題自体を探す力が必要になりました。どんな未来にしたいのか、自らの意志をもって、提唱していかないといけない。
オールドタイプからニュータイプへ、思考・行動様式が変革しないといけない時代になっているのです。
作りたいものが貫通力を持つ
ビジネスの発想も、オールドタイプとニュータイプではまるで違います。
オールドタイプはスケールを求めて市場におもねればよかった。この市場は可能性があるから、投資をして商品サービスを展開していきます。そうすることで、ビジネスがスケールしていくという分かりやすい構造です。
それが、ニュータイプの時代では通用しなくなりました。これまでは「スケール」と「フォーカス」はトレードオフの関係だと、マーケティングでは言われていたそうですが、現代は両立できる可能性があるといいます。グローバル化とテクノロジーによる変化ですね。
例に挙げているマルニ木工は、1928年創業の老舗家具店。そのマルニ木工の「HIROSHIMA」というイスが、アップル社のオフィスには並んでいます。
マルニ木工は、ずっとスケールを求めるビジネスをしていたのですが営業不振に陥ったそうです。そこで自分が欲しいイスを作ることに転換した。その結果、アップル社に採用されて、信頼を得ることができ、今では世界中でビジネス展開できるようになっているのです。
アインシュタインはバーベル戦略の成功例
バーベル戦略とは、極端にリスクの異なる職業を2つ持つこと。その成功例はアインシュタインだといいます。アインシュタインは特許庁で職員をやりながら、「光量子仮説」の論文を書いていました。
オールドタイプは1つの組織に所属し留まることになりますが、ニュータイプは組織間を越境していくというわけです。
また、1万時間理論のお粗末さも指摘されています。
- モーツアルトは努力をしていた
- 一流のバイオリニストは子ども時代に1万時間を練習していた
- ビル・ゲイツは学生時代に1万時間プログラミングに費やしていた
- ビートルズはデビュー前に1万時間をステージ演奏に費やしていた
これらは努力をすれば天才になれることの証左にはなりません。1万時間努力しないと天才になれない、というだけです。
さらに著者は努力のレイヤーを意識することを提案します。どれだけ努力しても成功しない状況がある。ゲームや楽器、スポーツなら努力が効果が高いのですが、知的専門職だと途端に低くなります。業界や環境を考えながらいけない、ということですね。
オールドタイプとニュータイプの違いは24項目
オールドタイプとニュータイプの比較は全部で24項目あります。主観的な意見ではなくて、歴史やデータを交えているので、知的な読書体験ができます。
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