文章力を上げるための本はたくさん出ていて、どれを選べばいいのか、分からなくなるほどです。
さらに書けなくて悩んでいるのか、もっと読んでもらえる文章を書きたいのか、その人の目的によっては適した本はまったく違うんですね。
そこで文章術の本をピックアップして、初級編、中級編、上級編に分けて紹介したいと思います。どの本が役立つのか、実際に読んでイチ押しを決めていきます。
文章力が上がる本【初級編】
『マジ文章書けないんだけど』
まずは入門編として圧倒的におすすめしたいのが『マジ文章書けないんだけど』です。
女子高生が文章についてレクチャーを受ける構成で、読みやすい。そして勉強になる。それもそのはず、著者は朝日新聞ベテラン校閲記者なんですね。読みながら問題を解けば、文章の基礎が身につけることができるはず。
文章術
- 文は最小の単位で、文をつないで文章ができる
- 主語と述語がかみあっているかを確認する
- 文章を分解するとおかしいことがわかる
『新しい文章力の教室』
Webメディア「ナタリー」が構築した文章術を大公開!出版当初は、すごく新鮮で、その後同じようなテイストの本が乱造されました。それほど、ウェブライティングの元祖的な存在。「完読」させることができるのが、いい文章。この定義がすばらしいです。読み続けたくなる魅力的な文章を書けるようになるために、レクチャーしてくれています。
文章術
- 悩まず書くために「プラモデル」を準備する
- 「サビ頭」構成を基本形にする
- 音読と黙読で読み返す
- 体言止めは読者に負担を与える
- 完読のためにスピード感を調節する
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』
『嫌われる勇気』といった本を生み出したライター・古賀史健さんの文章講義。「ライターとは翻訳者である」「文章はリズムで決まる」といった気になるワードがどんどん飛び出します。ライティングのプロですね。
文章術
- 書くことをやめて翻訳する
- 文章のリズムは論理展開によって決まる
- 美文より正文を目指そう
- 文章のカメラワークを考える 1導入、2本編、3結末
- 論理的な文章の3層構造 1主張、2理由、3事実
『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた』
文章術のベストセラー100冊からポイントをまとめているので、説得力が違います。伝わる文章の絶対ルールが詰め込まれています。
文章術
- 文章はシンプルに
- 伝わる文章には型がある
- 文章も見た目が大事
- 文章は必ず推敲する
- わかりやすい言葉を選ぶ
書籍ではランキング40位で紹介されていますが、上位7位までを解説した記事はこちらから!
『書くのがしんどい』
「書くのがしんどい」と思う人に向けた内容で、誰でも書けるようになるノウハウが詰まっています。著者は、編集者でWORDS代表の竹村俊助さん。
文章術
- 書くことがなくてしんどい 見つめるべきは「自分の内側」ではなく「外側」
- 伝わらなくてしんどい 読む速度と理解する速度が一致する文章にする
- 読まれなくてしんどい 読み手が自分ごとになるテーマなのかを意識する
- つまらなくてしんどい おもしろくするには共感8割、発見2割
- 続かなくてしんどい たくさんスベる
『9マスで悩まずに書ける文章術』
読みたくなる文章には「情報」と「書き手が感じたこと」がセットになっている。9マスを駆使しながら、文章を書くハードルを下げようとする試みをしています。
文章術
- 自分にインタビューして9マスを広げていく
- うまい文章とは目的を達成できている文章
- 文章テンプレ 結論優先型、列挙型、ストーリー型
『文章力の基本』
社会人から学生まで、多くの文章指導の経験によって蓄積された豊富な文例とノウハウがまとまっています。
文章術
- 短く言い切る勇気を持つ
- 宙に浮いた言葉を使わない
- 言いたいことを明確にする
『サクッと書けちゃう!文章レシピ60』
60項目で文章術がサクッと学べます。
文章術
- 主語と述語でねじれが起きないようにする
- つなぎの「が」を使うと1文が長くなりがち
- 話し言葉を書き言葉にする
文章力が上がる本【中級編】
『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』
学生の論文執筆をサポートする山田ズーニーさんによる文章本。ものすごく大好きな本。「書くことは考えること」。思考をまずは深堀りすることを課して、書く前の準備を重視しているスタイルです。
文章術
- 文章のゴールは読み手の心を動かし、状況を切り開き、望む結果を出すこと、それがゴール。
- 文章の7つの要件 意見、望む結果、論点、読み手、自分の立場、論拠、根本思想
- 文章の基本構成 論点、論拠、意見
『読みたいことを、書けばいい。』
読み手を想定して書かなくていい。これはちょっとした衝撃でした。「その文章を最初に読むのは自分、自分が読みたい文章じゃなければ書く意味がない」というのです。電通のコピーライターであった田中泰延さんご自身が、自分が読みたいことを書いて生きようと、生き方を変えたんですね。随所に田中節が炸裂。スルスルと読める文章術本です。
文章術
- 世の中には文章があふれていて、同じような話があるなら書かなくていい
- たくさん読まれたいという思い違いを捨てる
- 本書で扱うのは随筆 随筆とは事象と心象が交わるところに生まれる文章のこと
- 言葉の定義をはっきりさせる
『人を操る禁断の文章術』
メンタリストDaigoによる本。キワものかと思いきや、内容は正統派。おもしろかったです。
文章術
- 相手を騙すことではなく、相手の心に寄り添うことが大切。
- 7つのトリガー 興味、本音と建前、悩み、損得、みんな一緒、認められたい、あなただけの
- 5つのテクニック 書き出しはポジティブに、なんども繰り返す、話しかけるように書く、上げて下げてまた上げる、追伸をつける
『入門 考える技術・書く技術』
ロジカルシンキングを軸にした文章本。徹底した論理を意識した書き方をていねいにまとめています。
文章術
- OPQ分析 Objective(望ましい状況)、Problem(現状とのギャップ)、Question(読み手の疑問)、Answer(答え)
- シンプル化 体言止めは使用禁止、あいまい言葉は使用禁止、メッセージはただ1つの文章で表現、「しりてが」接続詞は使用禁止
- 分かりやすい文章を書くためには読み手を理解することが欠かせない
『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』
シンプルで伝わる文章を書くポイントは2つとしています。型に従って要点がわかるように書く、余計な文字を減らすことで、要点を目立たせる。
文章術
- 前提として何を書くか決まっていないと、文章は冗長になる
- 1文には要素を複数入れない
- いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにを意識すると文章は作りやすい
- 結論、根拠、具体例で3つの短文をつくる
- 文章の順番を変えるとわかりやすい
- 主語と述語の間になるべく言葉を入れない
文章力が上がる本【上級編】
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』
ライターを「書く人である以前に、つくる人」と定義。コンテンツをつくるための取材、執筆、推敲の方法をまとめています。
著者は、『嫌われる勇気』のライターである古賀史健さん。ストイックなライター論でありながら、読後、書いてみようと背中を押してくれる内容になっています。
文章術
- ライターは書いていない時間のすべてを「読むこと=取材」に費やさなければならない
- 取材の7割は「聴く力」で決まる、残りの3割が「訊く力」
- 起承転結ではなく、「起転承結」で展開する
- 推敲の本質を自分への取材
『調べる技術・書く技術』
ジャーナリストの野村進さんの技術を詰め込んだ本。「これは訊かないほうがいいのではないか」という質問があったら、必ず訊くこと。インタビュー術からして、信念を感じさせます。ノンフィクションの名著も紹介されていて、ブックガイドにもなります。
文章術
- 書き出しに全神経を注ぐべき
- 推敲は中途半端なところで妥協してはいけない。納得できるまで、書き直しをすることが、文章上達の秘訣
- 良いものをたくさん読むことで、貯水池に水がだんだん貯まっていき、あふれ出たものが、自分のテーマになり、自分の表現になる。
『バズる文章教室』
これまた異色の文章本。古今東西の名文家を徹底分析しています。森鴎外の寄り添い力、村上春樹の音感力など、具体的な文章を引用して、丁寧に解説しています。さらに文章をレベル上げて書きたい人におすすめ。
文章術
- 森鴎外の寄り添い力 古い話であるから入る
- 村上春樹の音感力 同じ語尾を使う、似た意味の言葉を連続させる
- 向田邦子の柔和力 ひらがなを駆使してゆっくり読ませるようにしている
『考える技術・書く技術』
本のテーマは「主たる考えとその展開を明確に表現する」「主たる考えをサポートする補助の考えを論理的に位置付ける」としています。
文章術
- 理解度を高めるために情報はいくつかのピラミッドグループに並び替えられる
- 理解の作業を助けるために「伝えるべき考え方はピラミッド型に構成すべき」
- ピラミッド構造の作り方 論理的にグループ化して文章をまとめた段落を作る、段落をグループ化して章を作る、章を集めて全体の文章を作る
『デジタル時代の実践スキル Webライティング』
成果につなげることを意識したライティング技術に特化した内容です。かなり実践的です。
文章術
- ライティングのときにPiREmPa(ピレンパ)を明確にする
- Point(結論)…その記事を通して一番言いたいこと
- Information(補足)… 結論に対する補足や説明
- Reason(理由)… 結論を導き出した理由や根拠
- Example(具体例)…結論や理由に対する具体例
- Method(具体策)…実際に行動に移すための具体的な方法
- Point(結論)…その記事を通して一番言いたいこと
- Action(行動)…メディアが期待するアクション
文章術本の神7は?
かなり絞るのが難しいのですが、個人的には以下の7冊がおすすめです。
- マジ文章書けないんだけど
- 新しい文章力の教室
- 伝わる・揺さぶる! 文章を書く
- 読みたいことを、書けばいい。
- バズる文章教室
- 取材・執筆・推敲 書く人の教科書
- 考える技術・書く技術
文章の世界は奥深い。
コメント