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『罪の声』グリコ森永事件を題材にした本6冊を紹介!

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1984年に起こったグリコ森永事件を題材にした映画『罪の声』が公開中。

グリコ森永事件は、「劇場型犯罪」の先駆けといわれ、警察やメディアを巻き込んでいきます。大きな注目を集めた事件ですが、犯人が捕まっておらず、大きな謎を残したまま。

それだけに『罪の声』に限らず、グリコ森永事件に関する本は、多く刊行されているんですね。どのような本があるのか、フィクション・ノンフィクションに分けて紹介していきたいと思います。

グリコ森永事件の大まかな流れ

前提となるグリコ森永事件の流れを、箇条書きでまとめてみます。

  • 江崎グリコの社長が、自宅から誘拐される
  • かい人21面相」と名乗った犯人グループから10億円と金塊100kgが要求される
  • 社長は自力で脱出したが、犯人の顔を見ていなかった
  • グリコヘの放火や脅迫が行われた
  • 丸大食品、森永製菓、ハウス食品不二家といったほかの企業も狙われた
  • 青酸ソーダ入りの森永の菓子を店頭にばらまいた
  • 森永製品が撤去されて、森永は対前年比9割の減産と大きなダメージを受けた

『罪の声』塩田武士

グリコ森永事件をモチーフに「ギン萬事件」として、真の犯人に迫る作品。小説であるからできることがあるなと思わせてくれる作品でした。ほぼほぼ犯人グループの全容が明かされるので。綿密な資料の読み込みがあるからこそのリアリティだなと。

主人公は、ギン萬事件を追う新聞記者である阿久津、スーツ仕立て屋の曽根俊也の2人。

俊也は、自宅で見つけたカセットテープから、ギン萬事件に使われた幼い子どもの声が自分だったことに気づきます。日本社会を震撼させた事件に、自分が関わっていた?この設定が効いていて、グイグイ先が気になります。

ポイントとなるのは、この事件ではもう2人、子どもの声が使われていて、いったい今どこで何をしているのかという点。

犯罪を起こしたことで現金奪取していなかったので、犠牲が出なかったように思えるけれど、被害者はいる。確実に。

序盤は展開が遅いように感じましたが中盤以降、真相に迫っていくと、読み応えが上がっていきます!

レディ・ジョーカー高村薫

日ノ出ビールの社長・城山が拉致されて身代金を要求される。グリコ森永事件が題材ですが、『罪の声』よりもさらにフィクションに振り切っています。ただこの事件をベースに、部落差別といった、日本の社会問題に切り込んでいるのが特徴。

レディ・ジョーカーと名乗る犯人グループの視点で、物語は展開されていきます。レディ・ジョーカーは、競馬場で知り合った、薬局店主、警視庁刑事、トラック運転手、旋盤工、在日朝鮮人の信用金庫職員といった5人で構成されています。ほかにも、警察や検察、マスコミ、地下金融グループといった人たちが絡み合い、物語の重層性を感じさせてくれます!

『未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言』

こちらはNHKスペシャルの内容が書籍化された1冊。放送時も圧倒されましたが、300人以上の捜査関係者に取材しているんですね。脅迫電話音声の再分析もしている。この熱量に圧倒されます。犯人に迫るよりも、警察の捜査がフォーカスされています。逮捕されないのが不思議なくらい。

『グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人』森下香枝

週刊朝日」のジャーナリストが追ったノンフィクション。94年の福徳相互銀行の銀行強盗犯である通常・哲ちゃんが、グリコ森永事件の犯人の1人だということに迫っています。ただ哲ちゃんは、福徳相互銀行で逮捕されてから自殺しています。

『罪の声』でも同書の説を採用していて、犯人を特定したという点で、グリコ森永事件を語る上で外せない1冊といえます。

『闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相』一橋文哉

3億事件やオウム事件などでも著書がある一橋文哉によるノンフィクション。犯人から手紙と録音テープが届いたという展開があり、かなりドキドキ感があります。キツネ目の男がいなかったという指摘もおもしろい。

『突破者』宮崎学

グリコ森永事件で犯人として疑われた宮崎学の半生記。それだけ当時、力を持っていたということ。グリコ森永事件以外の話も読み応えがあります。

劇場型犯罪の犯人はなぜ捕まらなかったのか?

ここまで大掛かりな犯罪なのに、逮捕できなかったのは本当に謎。だからこそ、未だに創作のモチーフになるのでしょう。フィクション、ノンフィクション共に、真相に迫ろうとしていますのでおすすめです!

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