浦沢直樹による漫画家の現場への密着シリーズ。漫勉neoとして復活!全8回、すべての内容をまとめてみました。
1回 ちばてつや
レジェンドのちばてつやが登場!1コマにかける思いがすごかった。うじうじする男の子を描くのに何度も何度も描き直す。だけどしっくりこない。するとなんとすべてのコマを一から描き直すことに。上半身から全身が入る構図になった。体全体で描かないと伝わらないと判断。クリエイティブの凄みは、こういうこだわりに宿る、確実に。1枚のカラー漫画ができるのにおよそ3日かけているという。
浦沢さんは、ちばてつやさんを心酔していて、松太郎の模写していることを明かす。原画が出てきて、浦沢さんの模写と比較。過去と今がつながる。すばらしい。
2回 岩本ナオ
シンプルな線を重ねることで山肌が生まれる。浦沢さんはメビウスと似ていると指摘。岩本さんは認識していないが、自分で獲得している。少女漫画を意識しているという言葉が力強い。絵の具を使った描き方もきれいに見えて独特でおもしろかった。
3回 すぎむらしんいち
「超・学校法人スタア學園」「ディアスポリス」といった独特な作品を生み出すすぎむらしんいち。意外なことに、すべてパソコンで描いているそうで、音楽はヘビメタ。おじさん描くのがおもしろいという指摘は新鮮。美男美女だと崩しちゃダメだけど、おじさんは崩すだけ崩していい。仮眠とるために、GoogleHomeに呼びかけて設定したのはいい絵だった。
4回 星野宣之
とにかく鉛筆での下書きのクオリティが圧倒的!背景もハイビジョンですべてを見せてくれる。
5回 諸星大二郎
諸星大二郎の創作としては、シナリオを書いてセリフを抜き出してマンガに落とし込める。浦沢さんは、変な夢を紙に再現できるから、多くの漫画家が憧れること存在だと評する。
6回 西炯子
おもしろいアイデアを入れていく、サービス精神が旺盛な作家。『甥の一生』は恋愛対象の男性が51歳。編集部からは40代にできないかと言われたが譲らなかった。少女漫画とは恋愛が成就するまでのもの。欠けていた人が満たされる。だから少女漫画を描いていきたい。
7回 惣領冬実
『チェーザレ破壊の創造者』の惣領冬実さん、なんと年で3回しか外に出ないとか。漫画作品にすべてを捧げている。
ミリペンで繊細な線を重ねて描く。ペン入れしたらすぐ消しゴムで消す。これにはびっくり。小津安二郎、ヴィスコンティの映像をかなり研究していたという。印象派が好きでその基礎のアカデミックを描かなくてはと思った。ということで、チェーザレの先に印象派の作品が生み出される?
8回 坂本眞一
デジタルで描く極限までいっている感じがした。衣装をつけて演技を写真に撮影して素材にする。そこから背景、アタリ、写真、下書きをレイヤーで分けて、描いていく。左手のリモコンで向きを変えて下書きをしたり、パーツを切り取って微調整したり、ちょっと近未来だった。Gペンだけど細めにして線を重ねることもできる。
まったく芽が出なかったけれど『孤高の人』が評価された。「何で?」のセリフが、写植を逆にして混乱を表現。アイデアが豊富。
贅沢な試み
あらためて贅沢な試み。ファンだったら、なおさらのめり込んでしまう。ブラックボックスなので、ここを可視化しているのは、浦沢さんの漫画界への貢献は高いと思う。すぐ真似して試してみるのも浦沢さんのすごいところ。継続してほしいシリーズ。
コメント