どのような戦略を立てるか。
ビジネスをするうえで成功できるかどうかは、戦略にかかっていると言っても過言ではありません。戦略をどう捉えていけばいいのか、経営戦略・戦略思考についてのおすすめ本を紹介していきます。
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そもそも経営戦略とは?
経営戦略とは、組織が長期的な目標を達成するために採る方針や計画のこと。経営戦略は、成長や利益の最大化を図るために、必要な戦術や手法を組み合わせて構築されます。
ビジネスをするうえで、経営戦略については事業者だけではなくとも、把握しておいたほうがいい。結局は戦略から考えることができないと、実行だけではやる意義を見失うことがあるからです。
経営戦略を立てるための5つのステップ
経営戦略を立てるためには以下のステップを踏んでいくことが基本です。
STEP1 目標設定
どのようなビジョンのもと、どのくらいの売上目標にするのか設定する
STEP2 現状分析
自社分析をおこない、他社には負けない強みを把握する
STEP3 戦略策定
現状と目標の差分を埋めるための戦略を策定していく
STEP4 戦術検討
どのような課題があるのか、具体的な施策を考えるための戦術を検討していく
STEP5 計画作成
どの施策を打つのか、スケジュールを含めて計画作成し、実行していく
経営戦略おすすめ本【実践編】
戦略を立てるうえで、すぐに実践に取り入れることができる本を紹介していきます。
『良い戦略、悪い戦略』
本書では、良い戦略と悪い戦略の違いを示して、良い戦略を立てるためのヒントを提供してくれます。
良い戦略とは、3つの要素から構成されます。
- 診断…現状を診断分析し、取り組むべき課題を見極める
- 基本方針…どんなアプローチで臨むのかを示す
- 行動…戦略は行動につながるものでなければならない。リソース配分、行動計画、実際の行動が噛み合ってる
良い戦略について把握したいなら、読んでおきたい一冊です。
『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』
自社の強みを作らなければならない、というのはどの企業も求めていること。本書では新しい強みはゼロから作る必要はないと提案しています。
ダイナミック・ケイパビリティとは、環境変化を察知し、経営資源を認識し、ダイナミック(動的)に組み直そうという考えです。
- 感知する…環境の変化を把握する能力
- 捕捉する…既存の経営資源を組み合わせ再利用する能力
- 変革する…強みを新しい組み合わせによって、新たな競争優位性を確立する能力
いまの日本企業こそ、把握しておきたい戦略です。
『コア・コンピタンス経営』
本書では自社の強みを磨き、未来を開けと提唱しています。コア・コンピタンスとは、自社しか持たない強みのこと。
- コア技術
- 顧客の利益
これら2つが組み合わさることで、強い製品が生まれるというわけです。当時はアメリカ企業向けに提唱されていましたが、いま日本企業こそが知っておくべき経営論です。
『知識創造企業』
企業のなかで生まれる知識が、競争力に大きく影響するということが、本書の考えです。知識を2つに分けています。
- 暗黙知…言葉にできない知識
- 形式知…言葉にできる知識
組織で知識が生まれる流れを「SECIモデル」として紹介されています。
- 共同化…個人同士で経験を共有して、新たな暗黙知を生む段階
- 表出化…暗黙知を明確なコンセプトに表現する段階
- 連結化…コンセプトを組み合わせ、知識体系をつくる段階
- 内面化…個々人が学んだ暗黙知を組織に広げる段階
組織的に知識が生まれる仕組みを考えるために、ものすごく参考になる内容になっています。
『ストーリーとしての競争戦略』
優れた戦略には、思わず人に話したくなるようなストーリーがある。戦略の違いの作り方について、2つのアプローチを紹介しています。
- SP=ポジショニング…競争に勝つためには他社と違ったことをやろう
- OC=組織能力…競争に勝つためには他社とちがう独自の強みを持とう
最初から完璧なストーリーなんて存在しないんですね。戦略コンセプトと戦略ストーリーの原型がありながら、やむを得ない事情などをクリアした先に、優れたストーリーが生まれていくのです。
『売上最小化、利益最大化の法則』
売上を上げるのではなく、注視すべきはあくまで利益というのが、本書の主張です。
売上拡大を考えていくと、広告費をかけていくわけですが、市場が変化したときに対応しきれない可能性があります。さらに新規獲得の難易度はどんどん上がっていく。だからこそ利益を見ていければ、安定経営ができるというわけです。それにより、大手が参入したくないニッチ市場のトップを狙うといったことが可能になります。
追う数字は以下になります。
- 上限CPO…顧客を獲得(受注)するのに「ここまでならかけてもいい」販促費のこと
- LTV…Life Time Valueの略。顧客が生涯を通して企業にもたらしてくれる利益のこと
堅実経営を考えるなら把握しておきたい考えです。
経営戦略おすすめ本【原理原則編】
戦略を考えるうえで、原理原則となる考え方を学べる本をまとめていきます。
『競争の戦略』
米国企業の経営者は手元に置いているといわれている戦略のバイブル。競争の基本戦略は3つしかありません。
- コストリーダーシップ戦略…他社より低いコストにする
- 差別化戦略…顧客ニーズをとらえて、より高い価格で売れるようにする
- 集中戦略…市場や商品を狭く限定しそこでベストを目指す
自社の強みや業界の状況を把握しながら、どういう戦略で進むべきかを決めていく必要があります。戦略の基本書として読んでおきたい1冊です。
『戦略サファリ』
世の中にある戦略論を10の学派に分けて、その成り立ちから批判をまとめています。そのなかで重要なのが「創発戦略」と「計画された戦略」です。
- 創発戦略…試行錯誤による学びを蓄積することで編み出された
- 計画された戦略…あらかじめしっかり練られた戦略
この2つを組み合わせることが優れた戦略になるというわけです。綿密な計画と臨機応変さ、どちらも必要なのは実感が伴うところです。
ほかにも知っておきたい戦略論が詰め込まれています。本書を読むことで、経営戦略を俯瞰して見渡すことができるようになるでしょう。
『競争優位の終焉』
企業のサイクルは短くなり、どこも変化が求められる時代。
本書では「競争優位性が持続する時代は終わった」としています。「一時的な競争優位性を獲得し続けることが必要」なんですね。
成長し続ける10社の共通点はこちら。
- ポイント1:安定性と俊敏性を両立し、常に代わり続ける
- ポイント2:衰退の前兆をつかみ、うまく撤退する
- ポイント3:資源配分を見直し、効率性を高める
- ポイント4:イノベーションに習熟する
- ポイント5:考え方を変える
- ポイント6:個人への影響についても考える
変化こそチャンスであるというマインドが求められるわけです。
『企業戦略論』
どんなに競争が激しい業界でも、勝ち組企業は存在しています。そこで著者は会社の業績は「経営資源」にあるのではないかと考えました。企業の強みはVRIOによって見えてくるとしています。
- Value:価値があるか?
- Rarity:希少性があるか?
- Lnimitability:マネが難しいか?
- Organization:組織的な仕組みがあるか?
顧客にとって価値があり、希少性があり、マネが難しく、組織的な仕組みがあることが、企業の強みにつながるというわけです。具体例が豊富なので、自社の強みをつかむために参考にしたい内容になっています。
『競争戦略論』
日本企業は、すべてのものを、すべての顧客へと考えて、お互いに模倣しあい競争して改善するだけだ。日本企業には戦略がない。日本企業は戦略を学ぶべきだ。
1999年に出版されたが、この指摘はいまも有効だといえるでしょう。
戦略で大切なのは、「なにをやるべきか」よりも「なにをやらないか」。戦略はトレードオフなんですね。どのお客さまを捨てて、どのお客様に対応するのか。どのニーズを捨てて、どのニーズに対応するのか。トレードオフを決めることで、強い戦略になるというわけです。
戦略を知ることが成功の近道
ビジネスにおいて戦略とはなにか、まずは把握することが大切。しっかりと概要をつかんで、適した戦略立案をしていきましょう。
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