テーマは宗教論。
『100分de名著』のスペシャル版で、宗教にまつわる本が紹介されていました。今こそ読んでおきたい本が厳選されていますので、まとめていきます。
『予言がはずれるとき』釈徹宗さん推薦本
レオン・フェスティンガーによる本。
個人は集団や社会からどんな影響を受けるのか?予言に注目した一冊です。
古今東西、予言はことごとく外れています。信じた人は失望して離れるが、むしろ勢力を拡大していくことがある。いったいなぜか?予言が外れてもある条件で、より信仰心が強くなることが見えてきたといいます。
本書では、宇宙人と会ったというグループに潜入取材をした記録が記されています。宇宙人が迎えにくるという予言があった。しかし、迎えはこなかった…。それにより落胆し、グループ内で「認知的不協和」が起こったのです。
認知的不協和の理論としては、以下の3つに対応が分かれるといいます。
- 信念、意見、行動を変える。
- 協和を強くするようにする。
- 耳をかさない。
宇宙人グループは、世の中への認知を獲得することに全力を挙げていきます。世の中が認めれば、不協和を解消できるとして、結束が高まっていったわけです。我々が活動したから、世の中を救えた。これにより、「信仰」が誕生したのです。
『ニコライの日記』最相葉月さん推薦本
ロシア人宣教師が見た日本。日本開国して明治の人々の姿が見えてくる。
正教を布教するうえで、仏教や政府からの妨害があったんですね。そもそも信仰について考える人は少なかった。正教は難しいため、まだプロテスタントのほうが可能性があったといいます。
そのなかでも、正教は信仰者を増やしていきました。正教の「霊性」と、だれもが仏になれるといった仏教の考えがマッチしたといいます。
『大義』『大義の末』片山杜秀さん推薦本
『大義』は杉本五郎が記し、軍部にいて禅の心を大切にして、戦前のベストセラーに。軍人としての生き方、信仰についてまとめられています。
神道はアニミズムや自然を大切にしていて、本来は各地域の共同体をつなぐためのもの。近代国家をつくるために、天皇を信仰する神道になっていく。国家神道に。どう生きたらいいかわからない若者たち。私がなくなり、天皇一神教へ。
『大義の末』は城山三郎による小説。『大義』に影響を受けた青年のてん末を描いています。
『深い河』中島岳志さん推薦本
クリスチャン作家の遠藤周作による小説。磯辺の妻は亡くなる前、「生まれ変わるから」と言い残します。磯辺はインドへのツアーで、輪廻転生があると思える出会いがあった。
宗教をどう捉えるのか、登場人物たちのスタンスによって考えが深まっていく作品です。
宗教を避けるのではなくその本質をとらえる
どうしても宗教といっただけでアレルギーがある人も多いと思いますが、だれもが関係するもの。人類にとって宗教とはなにか?は、人類史を考える上で避けては通れない問いです。
ぜひこの4冊で宗教への理解を深まえていきましょう。
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