東野圭吾の『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』。
ブラック・ショーマンシリーズの第2弾が発売! とにかく探偵役が魅力あるシリーズになっています。
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』について、あらすじ・ネタバレ紹介をしていこうと思います。
ちなみに「リノベの女」「続リノベの女」は、泣けるミステリーとなっているので、マストで読んでほしいです!
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』あらすじ
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』は、全6編の短編集になります!それぞれのあらすじをネタバレなしで紹介していきます。
トラップハンド
ハワイに別荘を持っているという金持ちの男性。玉の輿を狙う女性。あるバーでの2人の会話から、物語ははじまります。
美菜は仕事のこと、自宅のこと、別荘のことなど、事細かく聞いていきます。清川は、ITビジネスをやっていると答えます。
清川がトイレに立った後、バーのマスターが女性に伝えたこととは?
バーの名前はトラップハンド。マスターはもちろん本シリーズの探偵。
短い話ながら、スマートな展開で、ブラック・ショーマンの幕開けという気持ちにさせてくれます!
リノベの女
真世は、上松和美からリノベーションの依頼を受ける。武史のトラップハンドで、詳細を話すことに。
和美には、上松孝吉という資産家の亡き夫がいた。
そして和美から、兄と会うので、トラップハンドを貸してほしいと相談されます。
その兄は、和美に会うなり「あんたは偽物だ」と言い出します。和美は一笑に付します。
果たしてウソをついているのはどちらなのか?
真世と武史のやり取りが、いいんですね。マジメな真世と、なんでもありな武史。本シリーズの魅力になってます!
マボロシの女
柚希は、サックス奏者の恋人・高藤智也を不運な事故で亡くします。
しかし智也には、柚希の知らない謎があった…。
ストーリーはシンプルですが、誰が誰のために動いたのかが明かされたとき、心が温かくなる物語になっています。
相続人を宿す女
急にリフォームをやめた老夫婦。いったいなぜ?
事故で亡くなった息子が住んでいたマンションの一室をリフォームしようとしていたんですね。
それが、息子の離婚した妻が、息子との子どもを宿していると訴えてきたわけです。
タイトルどおりにかなり奇想天外でありながら、法律上はあり得るという展開は、さすがすぎます!
続・リノベの女
リノベの女の続編。
毒親の母視点での物語。軽度の認知症を患っている末永久子は、自殺した娘は死んでないと言い出します。ボケているだけと思いきや…。
あまりにも切ないです。こういう話を描くのが、東野圭吾のすごさであり、登場人物へのやさしい視点なんだと思います。
査定する女
ここで最初の「トラップハンド」に登場した陣内美菜にフォーカスが当たります。美菜にようやくおめがねに叶った男性が現れるのです。
各作品にチラホラ登場していた美菜の背景が見えてくる。ゆるやかなつながりを見せて、あざやかな幕引き!
派手さもあってエンタメ感がある内容になってます。
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』ネタバレ
それぞれネタバレありで、紹介していきます!
トラップハンド
清川は、金持ちではなかった。ハワイの別荘写真から、バーのマスターが見抜きます。別荘の写真が広角レンズで撮影されていたんですね。清川のスマートフォンは、広角撮影ができないものだった。
ブルーハワイに睡眠薬を入れていて、美菜を眠らせて襲おうとしていた。バーのマスターにより、睡眠薬は清川が飲むことに。
清川は『幻脳ラビリンス』のゲーム化にも携わっていると話しながら、眠くなりトイレへ…
悪党をこらしめる構図で、なかなか爽快です!
リノベの女
驚きの連続!
和美の実兄・ 竹内祐作が言っていたことが本当でした。和美は本物ではなかったのです。
武史も早々に見抜きます。理由は、和美夫婦と武史がいっしょに写ったニセモノ写真を、和美はすんなり受け入れたこと。
莫大な遺産を狙ったなりすまし犯罪かと思いきや…。
真相はそっくりな2人が計画して、同意のもとに入れ替わったことが明かされます。
本物の和美は、重い疾患により、余命がないことがわかります。このままでは遺産が、兄と父に渡ってしまう。和美は、13歳のころ、兄の差し金で男たちに襲われます。そのことを恨んでいたんですね。
たまたま立ち寄った本屋で、自分そっくりの女性・ 末永奈々恵に出会い、入れ替わりをお願いしたのです。
奈々恵には、束縛する母親から逃れたいという思いがあり、交渉は成立。入れ替わりを実行することになったのでした。
本物の和美は、奈々恵として奈々恵の部屋で、服毒自殺をします。
そして入れ替わった和美は、マンションの部屋を人生とともに、リノベーションするのでした。
兄が訪ねてきたときのやり取りは、グッとつかまされました。謎の提示が、うまい。真相までは少々複雑化していきますが、入れ替わりが悪どい犯罪かと思いきや、入れ替わる2人の友情が芽生え、どうしようもなかったと思わせるのは、さすがの展開!
マボロシの女
高藤には、妻がいるうえに、逗子でまた違う女性と会っていたことがわかります。
その女性は、トランスジェンダーの息子が扮装していたと、柚希は妻から明かされます。
しかし、それはすべて、柚希の親友である弥生が仕組んだこと。
柚希を立ち直らせるために、別の女性がいたことにしたかったが、神尾から息子という案を提示された。親子の絆には入れなかったと思えればいいという計算があった。
柚希が、息子の演奏動画を見たことで、すべてを明かすことに。
ブラッディマリーのように血を流したとしても、親友を救いたい。弥生の熱い友情を感じる結末でした。
相続人を宿す女
遥人と沙智の結婚生活は破綻していて、それぞれ別のパートナーがいた。
沙智は、妊娠しているが、遥人との子どもだと主張します。
強欲だと思いきや、産まれてくる子は、無脳症なのがわかっていたことがわかります。遥人の妹であり、紗智の親友でもある文香の子どもは、心臓移植が必要だったんですね。産まれてくる子の心臓を使ってほしい。ただ移植先を選べるのは、親族である必要がある。そのことから、沙智は遥人との子どもだと、ウソをついたのです。
法律上の知識とミステリーをあわせた展開に、うならされます。ただの悪人ではないのも、いいんですよね。
続・リノベの女
末永久子の疑いを晴らすために、武史と真世が動きます。
介護施設に、マジシャンとして潜入します。末永久子と奈々恵との交流には、思わず涙…。正体は明かせない、これが最後になるかもしれない。仮面をつけたまま、奈々恵は、久子の肩を揉み、つかの間のいっしょの時間を過ごします。あんなに高圧的だった母のちがう顔を見ることになるのです。
査定する女
美菜に好意を寄せる栗塚は、ホンモノのお金持ち。武史のおすみつきをもらいます。
そしてバーにしていたベレー帽の男・ 大瀬が、美菜をスカウトします。美菜は女優を夢見ていて、一度はあきらめたんですね。
美菜は玉のこしではなく、女優になる夢を求めて、アメリカに渡ることに。
実は、栗塚もはじめからだます側。美菜が本当に女優になる覚悟があるのか、試していたんですね。
美菜という女性がまた違って見えてきて、あざやかな感動をもらえます!
ブラック・ショーマンの世界観が広がる!
ブラック・ショーマンは、長編のじわじわと真相を迫る感じも好きでしたが、短編のほうが合ってるかも!?
ちょっとしただましのテクニックと、種明かしが、テンポいいんですね。
映像化、ドラマ化が間違いないことも、短編を読むとわかります!
ぜひこのタイミングで、ブラック・ショーマンの世界を堪能してほしいと思います!
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