映画『デューン砂の惑星』が大きな話題を集めています。
原作は、フランク・ハーバートによるSF小説です。1965年に発表され、ヒューゴー賞やネビュラ賞を受賞しました。SFオールタイムベストの上位にくる作品で、「世界で最も売れたSF小説」と評されることもあります。2024年には、映画『デューン砂の惑星 PRAT2』が公開。
原作『デューン砂の惑星』はどのような内容なのか、解説していきたいと思います!
デューンシリーズとは?
砂漠の惑星アラキス、通称デューンを舞台としたシリーズ作品。デューンには、抗老化作用を持つ香料メランジが生産されていて、それを巡る物語になっています。
中心になるのは、レト・アトレイデス公爵の息子ポール。ドゥニ・ビルヌーブ監督の映画では、シャラメがポールを演じています。
原作は『デューン砂の惑星』からはじまり、壮大なSF叙事詩が展開されます。
- 『デューン砂の惑星』(1965年)
- 『デューン砂漠の救世主』(1969年)
- 『デューン砂丘の子供たち』(1976年)
- 『デューン砂漠の神皇帝』(1981年)
- 『デューン砂漠の異端者』(1984年)
- 『デューン砂丘の大聖堂』(1985年)
著者のフランク・ハーバートが亡くなったあと、息子であるブライアン・ハーバートがシリーズを継続させます。フランク・ハーバートは、数千ページに及ぶメモを残していたんですね。そこで、ブライアン・ハーバートは、作家のケヴィン・J・アンダースンとともに、前日譚を小説にしていきます。
- 『デューンへの道 公家アトレイデ』
- 『デューンへの道 公家ハルコンネン』
- 『デューンへの道 公家コリノ』
アトレイデ、ハルコンネン、コリノ、それぞれの由来がわかるので、『デューン砂の惑星』の世界観が深まる内容となっています。
映画デューンと原作との関係
ドゥニ・ビルヌーブ監督の映画『デューン砂の惑星』PART1、PART2は、原作の『デューン砂の惑星』を映像化しています。
ビルヌーブ監督は映画を3部作で考えていて、PART3は『デューン砂漠の救世主』の第2部を映像化すると予測されています。
デューンシリーズはなぜ人気なのか?
デューンシリーズがすごいのは、現実を映し出していること。砂漠のエネルギーを奪い合うのは、中東をモチーフにしています。『アラビアのロレンス』をSF作品として落とし込んでいるんですね。
さらに、砂漠なのはなぜか?が大きな謎になっている。環境はひとつのシステムということ。惑星を生態系として見る発想がものすごく新しかったわけです。
メランジで人間の意識を拡張するのは、ドラッグをモチーフにしています。
それだけ時代の気分にもマッチしていたといえます。
デューンシリーズの映像化
デューンシリーズはさまざまな映像化の話が立ち上がるものの、実現が困難な作品とされていました。
アレハンドロ・ホドロフスキーを始め多くの人が映像化を挫折しています。1984年にデイヴィッド・リンチ監督によって初めて映像化されましたが、原作の魅力を描くことはできませんでした。忠実に描こうとしすぎたことと、ファンに寄り添いすぎたことが原因とされています。
2000年代にテレビドラマシリーズ化されたときは、『デューン 砂丘の子供たち』までが映像化されました。
おもしろいのは、映像化が頓挫した話がドキュメンタリー作品になっていること。『ホドロフスキーのDUNE』は、その顛末を克明にたどった映画になっています。
そして2021年にドゥニ・ビルヌーブ監督によって『デューン 砂の惑星』として映画化。第94回アカデミー賞では作品賞をはじめ、6部門を受賞しました。2024年には『デューン 砂の惑星 PART2』が公開。ようやく原作の魅力を映像化できたといえる作品に仕上がっています。
デューンシリーズあらすじ
デューンシリーズそれぞれのあらすじを見ていきます。
『デューン砂の惑星』上中下
レト・アトレイデス公爵は砂漠の惑星アラキスを治めることになった。アラキスは、通称デューンと呼ばれていた。そこには抗老化作用を持つ香料メランジが生産されていた。しかし、それはハルコンネン家と皇帝による陰謀だった…。息子のポールの命も狙われることに。
『デューン砂漠の救世主』上下
ポールが帝座について12年。旧勢力であるベネ・ゲセリット結社、宇宙協会、ベネ・トライラックスが、陰謀を巡らせる…。
『デューン砂丘の子供たち』上下
ポールが砂漠に去ってから10年。ポールの遺児レトとガニマは、メランジが産出されなくなる可能性に気づく。砂の惑星が緑化したことで、砂虫がいなくなってしまったことが原因だった…。そこにコリノ家が、支配権を狙って動いてた。
『デューン砂漠の神皇帝』123
レト二世の即位から3500年、宇宙は「レトの平和」と呼ばれる平和と停滞を強いられ、アラキスは完全に水と緑の惑星と化していた。「神皇帝」レト二世は半ば砂虫と化しており、その人間性は失われつつあった。
『デューン砂漠の異端者』123
レト二世の崩御から1500年。新たな勢力がやってくる。また砂の惑星となっていたアラキスに、砂虫を操れる少女が現れた。
『デューン砂丘の大聖堂』123
「誇りある女たち」の攻撃によってラキスは壊滅状態に。「ベネ・ゲセリット」の大聖堂惑星が、第2のデューンになろうとしていた。「ベネ・ゲセリット」と「誇りある女たち」の対立は激化していく…。
『デューンへの道 公家アトレイデ』123
ポールの祖父ポウルス・アトレイデの時代。ポールの父レト・アトレイデは15歳。アトレイデ家の母星であるカラダンでなにが起こっていたのか。
『デューンへの道 公家ハルコンネン』123
さらに10年後、レトとジェシカの出会いが描かれる。そして宿敵ハルコンネン家の陰謀が迫る…。
『デューンへの道 公家コリノ』123
コリノ家の陰謀が描かれる。デューン砂の惑星の前日譚3部作が完結。
デューンシリーズの魅力にどっぷりハマる
映画から興味を持ったなら、ぜひ原作も読んでみてほしいと思います! ドゥニ・ビルヌーブの映画『デューン砂の惑星』は見事な出来になっています。さらに楽しむためにも、原作を読むことで、その世界観の深みを感じることができるはず。
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