『変な絵』は、雨穴によるミステリーホラー小説。
9枚の変な絵にまつわる謎がからみあっていき、最後にはゾクッとくる結末が待っています…。『変な絵』について、あらすじやネタバレを交えて解説していきます。
『変な絵』マンガ版もあります。
『変な絵』あらすじ(ネタバレなし)
ブログに投稿された「風に立つ女の絵」、消えた男の子が描いた「灰色に塗りつぶされたマンションの絵」、ある遺体が残した「震えた線で描かれた山並みの絵」。これらの絵に隠されたメッセージとは?
謎が解けたときに、すべての事件が1つにつながっていきます。9枚の謎の絵の見え方が、ガラリと変わる衝撃を味わうことができます。
『変な絵』目次
- 第1章 風に立つ女の絵
- 第2章 部屋を覆う、もやの絵
- 第3章 美術教師 最期の絵
- 最終章 文鳥を守る樹の絵
『変な絵』登場人物
『変な絵』の登場人物になります。
- 佐々木修平(ささき しゅうへい):大学生。オカルトサークル所属
- 栗原(くりはら):オカルトサークルの後輩
- 萩尾登美子(はぎお とみこ):心理学者
- 七篠レン(ななしの れん):ブログ主
- ユキ:七篠レンのブログに登場する女性
- 今野優太(こんの ゆうた):6歳、保育園児
- 武司(たけし):優太の父親
- 直美(なおみ):優太の祖母
- 米沢美羽(よねざわ みう):優太の保育園での友人
- 春岡美穂(はるおか みほ):優太の保育園の先生
- 三浦義春(みうら よしはる):高校の美術教師
- 岩田俊介(いわた しゅんすけ):L日報の総務局員、三浦の事件を熊井と捜査
- 熊井勇(くまい いさむ):L日報で教育係、元記者
- 亀戸(かめいど):三浦義春の教え子
- 豊川信男(とよかわ のぶお):三浦義春の同級生
『変な絵』ネタバレ
ここからは『変な絵』のネタバレ解説をしていきます。
【変な絵】プロローグ
1枚の絵が紹介されます。心理学者の萩尾登美子は、この絵の違和感を語っていきます。そして、絵を描いた女の子の恐るべき性格や、今の様子を解説しました。
【変な絵】風に立つ女の絵
大学生の佐々木は、オカルトサークルの後輩・栗原からあるブログを紹介されます。
「七篠レン 心の日記」というブログでは、レンがユキという女性と結婚し、妊娠した幸せな日々がつづられていました。しかし2012年「このブログを更新するのを止めます」という内容が書かれていました。
そのブログには、ユキが描いた5つの絵がありました。
- 赤ん坊
- 少年
- ユキに似た女性
- レンに似た男性
- 白衣を着た老婆
レンはこの5つの絵の秘密に気づき、更新を止めたのです。「あなたが犯してしまった罪がどれほどのものかはわからない」「あなたを許すことができない」「でもあなたを愛し続ける」と書かれていました。
3枚の絵を重ねると、横になった妊婦のお腹から、強引に赤ちゃんを取り出している老婆の姿が浮かび上がってきました。つまり、ユキは出産時に死を覚悟していたと、予測できるのです。しかし、まったく真相は見えないままです…。
【変な絵】部屋を覆う、もやの絵
6歳の今野優太は、3年前に父親がこの世を去りました。そのとき、優太が保育園である絵を描きます。
優太が描いた絵はこんな内容でした。
- マンション
- 優太
- 母親
- マンションの一部だけ灰色で塗りつぶされている
そして優太は行方不明に…。残された直美は、優太の絵を発見します。直美は、優太は実の母親のもとへ行ったと予測します。しかし実の母は、すでに亡くなっていたのです。
直美が帰宅すると、日ごろ悩まされていたストーカーが侵入してきます。直美はストーカーをナイフで刺してしまいます…。
【変な絵】美術教師 最期の絵
美術教師の三浦が、ある山で殺害されます。この事件を岩田と熊井という2人の記者が調べていきます。三浦は生前に1枚の絵を描いていました。その絵は、ダイイングメッセージのようでした。
記者は、容疑者を3人に絞ります。
- 三浦の妻である直美
- 美大時代の友人である豊川
- 教え子の亀戸
岩田は、三浦が殺された山へ。だが、岩田は寝袋に入り眠ったまま拘束されて、惨殺されてしまうのです。
そして、場面は直美がストーカーを刺した場面へ。そのストーカーはなんと熊井でした。熊井は、直美が犯人だと追跡を続けて井たのです。そして三浦と岩田を殺した罪で、直美を逮捕するのでした。
【変な絵】文鳥を守る樹の絵
直美の過去が語られます。
直美は11歳で、母を殺害していました。その後、施設で育ちながら、直美は更生していきます。
プロローグの絵は、直美が描いたものでした。心理学者の萩尾も、直美が更生していると考えていました。
直美は助産師の資格をとって病院で働くようになります。そして三浦と結婚して、息子・武司を授かることになりました。
しかし、三浦は息子に厳しすぎる教育をしてしまい、このままで息子の心が壊れてしますと、直美は息子を守ろうとします。直美は三浦を殺害しました。
さらに直美の罪が明らかに。ブログ主のレンは、息子の武司だったのです。そう、ユキを殺したのは直美でした。ユキは、直美に殺されることをわかっていたのです。息子を思うあまり、嫉妬に狂っての犯行だったのです。
【変な絵】エピローグ
心理学者の萩尾は、はじめに出した結論が違うのではないかと、直美の絵を見返します。
文鳥を守っている枝をよく見ると、枝はトゲトゲになっていました。それは誰かを守るためなら、彼女は尖ることができるということ。彼女は更生していたわけではなかったのです…。
『変な絵』ネタバレ人物相関図
『変な絵』では、実は同一人物という仕掛けが張り巡らされています。相関図を見ることで、謎が一気にわかりやすくなります。変な絵のすべての犯人は、今野直美。

「✕印」は直美が殺害した人物です。
『変な絵』9枚の絵の謎を解析!
変な絵では、9枚の絵が出てきます。それぞれどんな意味なのか、解析していきましょう。
少女が描いた絵
■どんな絵?
- 家にはドアがない
- 少女の笑顔がゆがんでいる
- 鳥と枝
■絵に隠された意味は?
- 母親からの虐待があった
- 弱いものを何があっても守りたい
ブログに出てきたユキの5枚の絵
■どんな絵?
- 赤ん坊
- 少年
- ユキに似た女性
- レンに似た男性
- 白衣を着た老婆
■絵に隠された意味は?
- 5枚の絵に番号が振られていて、番号を合わせると重ね絵が出てくる
- 1〜3を重ねると、女性が出産するときに老婆によって命を奪われる未来
- 4、5を重ねると、成長した子どもと父が並んでいる
- 妊娠中だったユキは、義母である直美に殺されることを予測していた
6歳の優太が描いた絵
■どんな絵?
- マンション
- 優太
- 母親
- マンションの一部だけ灰色で塗りつぶされている
■絵に隠された意味は?
- マンションは後から追加で描いたもので、灰色のモヤが先
- モヤをよく見ると、三角の記号があり、それは今野の「今」という漢字
- 直美は優太の実の母親ではなかった
- 優太は実の母親である、今野ユキの墓を描いていた
三浦の絵、岩田の絵
■どんな絵?
- 山の風景が描かれていた
■絵に隠された意味は?
- 美術教師の三浦の絵としては下手すぎる、後ろ手に縛られて描いたから
- 三浦は犯人の直美にアリバイを作ろうとした
- 岩田は、あえて三浦と同じような絵を描くことで、真犯人を伝えた
すべての絵が真実につながる
各話だけでも謎の話としてゾクッとくるのに、すべての絵から1つの真実が浮かび上がる流れに、驚くこと間違いありません。
著者の雨穴さんは、『変な家』『変な家2』がありますが、どれも少しずつ謎が解き明かされる展開に、引き寄せられてしまいます。
『変な絵』、ゾクッとくる体験をしたいなら、かなりおすすめです!