『クスノキの番人』は東野圭吾のハートウォーミング作品。
クスノキの木に祈ることで、さまざまな人と人の関係性が変化していきます。東野作品であるので、謎要素もあり、先が気になるのは間違いなし!
『クスノキの番人』についてネタバレで解説していきます。
『クスノキの番人』あらすじ
クスノキは、その木に祈れば願いが叶うと言われている神聖な木。「クスノキの番人」を任された青年・玲斗と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の物語。
玲斗は、不当な理由で職場を解雇されていて、そのことに腹を立て、罪を犯してしまいます。逮捕されて起訴を待つ身となってしまったのですが、突然弁護士が現れます。
依頼人の命令を聞けば釈放してくれるというのです。ここから玲斗は、クスノキの番人となります。
『クスノキの番人』続編は?
『クスノキの番人』は続編が発表されています。
タイトルは『クスノキの女神』。2024年5月23日発売となります。
不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。シリーズ待望の続編です。
『クスノキの番人』登場人物
- 直井玲斗:クスノキの番人に任命される。
- 柳澤千舟:玲斗の伯母。玲斗にクスノキの番人になることを命じる。
- 直井美千恵:玲斗の母親。
- 佐治寿明:クスノキに祈念している。
- 佐治優美:佐治寿明の娘。父の浮気を疑っている。
- 岩本義則:玲斗を保釈した弁護士。
- 大場藤一郎:大手和菓子メーカーの社長。
- 大場荘貴:大手和菓子メーカーの跡継ぎ。
『クスノキの番人』映画化・ドラマ化は?
『クスノキの番人』映画化・ドラマ化は、現時点では情報が公になっていません。
しかし、ハートウォーミングな展開で、東野圭吾作品なので映像化されることは間違いないでしょう。
『クスノキの番人』ネタバレ解説
ここから『クスノキの番人』について、ネタバレ解説していきます。
クスノキの番人とは?
玲斗は、月郷神社のクスノキの番人として仕事を任されました。この神社には本殿はあるものの、本当に守るべきなのは境内の奥にある、空洞を持つ巨大なクスノキでした。
このクスノキには「中に入って願掛けをすると願いが叶う」という伝説があり、パワースポットとして有名になっていました。玲斗の役割は、番人としてクスノキを管理し、祈念に訪れる人々への対応をすることでした。
しかし、実際の仕事は予約管理や祈念者へのロウソクの配布、火の始末の確認といった簡単なものでした。クスノキの内部で何が行われているかを探ることは禁じられており、玲斗はその内情を知らずに番人を務めていました。
クスノキの祈念のルールとしては、以下があります。
- 新月の夜に預念し、満月の夜に受念できる
- 預念者と血縁者だけが、念を受け取れる
佐治家の娘からの疑い
佐治寿明は、クスノキに願いを預けるため祈念に訪れていました。しかし、その様子を娘の優美に盗み聞きされてしまうのです。優美は最近父の行動が怪しく、浮気を疑っていたのでした。
実は寿明の動機は、実兄・喜久夫の願いを受け継ぐことにあったのです。喜久夫は才能あるピアニストでしたが、人生の挫折から脱落し、アルコール依存症にもなっていました。
母・貴子だけが喜久夫を支え続けたものの、晩年になり認知症を発症。喜久夫は亡くなる前に、クスノキに母への想いを込めた「曲」を預けていたのでした。
兄の遺した「曲」を形にする。寿明は兄の遺した「曲」を受け取るため、クスノキで祈念していたのです。すると不思議な体験から、兄の曲の一部始終を心に感じ取ることができました。
しかし認知症の母は曲を受け取れず、寿明は自分なりの方法で曲を形にしようと考えます。つまり鼻歌で兄の曲を再現し、知り合いの音楽家に起こしてもらおうというのです。
優美が愛人だと疑った女性こそが、この音楽家でした。寿明は度重なる祈念を重ね、鼻歌の精度を上げようとしていたわけです。しかし素人の寿明には限界があり、兄の本当の想いを形にすることはなかなか難しかった。
優美は、徐々に父の行動の本当の意味に気づいていくことができたのです。
壮貴と息子の祈念
大場壮貴は和菓子メーカー「たくみや本舗」の跡継ぎですが、実は亡くなった父・藤一郎とは血の繋がりがありませんでした。この事実を知っているのは二人だけ。
藤一郎は、亡くなる前にクスノキに自分の「念」を預けました。しかし、クスノキでは血縁者しか「念」を受け取ることができない決まりがありました。それでも藤一郎は、壮貴にだけ受念させるよう遺言しました。
その狙いは、壮貴に「受念できた」と嘘をつかせ、血の繋がった本当の息子であるかのように見せかけること。
遺言を知った壮貴は、父の望むように、受念できたことを選択します。
千舟と玲斗の物語
玲斗が自分を卑下する言葉に、千舟は苛立ちます。やがて玲斗は、千舟のおかげで人生が変わり、クスノキの番人としても成長を遂げていくんですね。
後継者に選んだのは、千舟が認知症だと気づいたことと、玲斗の母・美千恵への償いの気持ちがあったから。玲斗と千舟の絆が、本作の大きな幹となっています。
クスノキシリーズの世界へ
続編も発売されることで、シリーズ化となります。
クスノキシリーズは映像化もされる可能性が高いので、ぜひこの機会にシリーズ2冊、手にとってほしいと思います!