幻冬舎の見城徹さんの読書論。見城さんの本はいつもヒリつくほど熱い。目の前で語っているかのような気分になるんだけど、本作もヒリヒリと火傷しそうなほどです。
帯の秋元康さんの「見城徹の読書は血の匂いがする」は、すばらしいコピー!
人間が進歩する3つの要素
見城さんはまず読書について、一生で経験できないことを学べるものとしています。そして人間が進歩する3つの要素を提唱します。
- 自己検証
- 自己嫌悪
- 自己否定
徹底的に自分を見つめろ!ということで、そのために読書が役立つというわけです。
売れるコンテンツの条件と3枚のカード
見城さんの「売れるコンテンツの条件」とかはおもしろかったです。
- オリジナリティーがあること
- 極端であること
- 明快であること
- 癒着があること
あと編集者として常に3枚のカードを持てと。石原慎太郎に対しては、「弟」「政治家」「老い」だったそうで、それぞれ全部ヒットしています。このカードをタイミングよく切り出すことが大事だと。
見城さんの読書体験
ここから見城さんの読書体験が展開されていきます。本書からの言葉をメモするとともに紹介しておきます。
目次
『人間の條件』五味川純平
テーマは自分の良心との戦い。満州の日本軍兵の物語。
『邪宗門』高橋和巳
国家権力から弾圧される宗教団体を描いた作品。理念をまっとうする難しさがある。
『転位のための十篇』吉本隆明
これほどに苛烈な詩はない。極限状態で国家と対決する個体の心情が、切ないまでに美しく綴られている。
『勝者には何もやるな』ヘミングウェイ
座右の銘。圧倒的な努力をして勝ち取ったときに、勝利という事実以外何もいらない
『さらばモスクワ愚連隊』五木寛之
差別の構造を明らかにした。ここまでの感動をもたらすのかと。
『太陽の季節』石原慎太郎
暴力とエネルギーに満ちた傑作。
『死者の奢り・飼育』大江健三郎
死体運びバイト。黒人兵と仲良くなるもの。
おすすめ度5☆☆☆☆☆★★★★★
それぞれの本の紹介はおもしろかったけれど、ちょっと引用が多い。多すぎます。
見城さんの『編集者の病』から村上龍とかのエピソードが数ページに渡って引用されたときは、ちょっとあきれてしまった。手抜きじゃないですか。
熱はあるのにもったいない…。
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