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金正男が暗殺されたのは必然か。7時間インタビューと150通メールから読み解く

金正男が、マレーシアで暗殺されたという報道が駆け巡っています。

Chosun Online | 朝鮮日報

「マジか!」と思ったのと同時に、「ついにか…」という気持ちもありました。

金正男は、現在の北朝鮮最高指導者・金正恩のお兄さんなんですね。

2人は異母兄弟で、金正男は後継者争いに敗れて、マカオや中国で隠遁生活を送っていたわけです。

2001年、金正男が日本のディズニーランドに来ていたことが発覚。けっこうインパクトあったので、日本ではそっちの印象が強いかもしれません。

ぼくにとって、金正男のイメージはリベラルさがあって、さみしがり屋な人。

それも全部この本から。

父・金正日と私 金正男独占告白 (文春文庫)

父・金正日と私 金正男独占告白 (文春文庫)

暗殺されたのは必然だったのでしょうか?
書籍『父・金正日と私』から読み解いていきたいと思います。

どんな本?

金正男の肉声って、ほとんど世に出てないんですよね。(一時期テレビなど出ていたことはあるものの)

それが『父・金正日と私 金正男独占告白』では、バンバン肉声が出てきます。金正男とのメール150通のやり取りや、7時間のインタビュー内容がベースなんですね。

著者は東京新聞記者・五味洋治さんなのですが、なぜそこまで接近できたのか?

きっかけは2004年の北京空港。著者は、偶然に金正男と出会い、名刺を渡します。数ヶ月後、金正男と名乗るメールが送られてきて…

この本人とのメールのやり取りが、エキサイティングなんです。

相手が本物なのかどうかを探りながら、関係性を崩さずに際どい質問を送る。押しすぎてもダメだし、引きすぎても肝心なことが聞き出せない。

やり取りを継続するかどうかは、相手次第なわけです。

その点、五味さんは忍耐力あるんですよね。切れそうな糸をギリギリの状態で保ち続ける。これは、丹念ですよ。細かいところまで、念が入ってる。

マカオで本人インタビューするときは、かなりハラハラしました。最悪、取材者側も命の危険があるわけで。

本書は、サスペンスものとしても一級品だと思います。

リベラル発言を連発していた

さて、金正男はどんな発言をしていたのでしょうか。

メールやインタビューから見る限り、かなりリベラルな考え方を持っていたようです。

具体的には、

  • 北朝鮮世襲制を否定
  • 核実験を憂慮していた
  • 経済政策にも苦言を呈していた

といった発言がありました。

現政権への提言は、批判だと捉られる恐れもあります。読んでいるこちら側がそこまで言っていいのか! と心配になるくらいに、踏み込んだ発言ですよね。

寂しがり屋な人

金正男は寂しがり屋なんだろう、そうも感じました。

著者に対して、日本に来た体験をうれしそうに知らせたり、友達が多いという自慢をしたりするんですね。

著者とここまで交流したのも、かまってもらえることが単純にうれしかったからなのかなと。だって、金正男にとっては日本の記者に接近するって、ほとんどメリットはないはず。

自分のことを誰かに話したくてたまらない。聴いてもらいたくてたまらない。

日本の記者は、はけ口として程よかったのかもしれません。

金正男は幼少期の頃から、その存在をひた隠しにされていました。生みの母親・成恵琳が映画女優で妻にふさわしくないこと、成恵琳に夫と子供もいたことなどが理由だと言われています。

父・金正日は後継者として、長男ではなく三男の正恩を選びました。

父から選ばれず、そして暗殺された…

さいごに

暗殺される理由としては充分で、本書でも正男本人が自覚していたことが分かります。

それにしても、後継者争いの敗者が殺されるって、いつの時代の話なんだよ、とは思いますが…

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