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『最高の休息法』から学ぶマインドフルネス!疲れが取れないときの救いの書だった

疲れが取れません。まったく。睡眠をしっかり取っても、運動をしても、

体がダルくて仕方がない・・・。

そんな状態が続いていて悩みまくったときに手に取ったのが本書『世界のエリートがやっている 最高の休息法』でした。

かなり良くできた本で、物語仕立てで実用的な方法を紹介していて、「マインドフルネス」がどういうものか、すんなりと入ってきます。

どんな本なの? マインドフルネスを物語仕立てで紹介

主人公は、米イェール大学で脳科学を勉強していたナツ。ナツは研究からドロップアウトして、伯父が経営するベーグル店「モーメント」を手伝います。だが店員はまったくやる気がなく、店はつぶれかかる寸前の状態だった。

イェール大学教授のヨーダから「マインドフルネス」のアドバイスをもらいながら、店に変化をもたらすというストーリー。

随所にマインドフルネスの実用的な話が入っていて、すごく読みやすかったです。

そもそも疲れの源は脳だった!?

疲れが取れないのは、「過去」と「未来」のことを脳が意識してしまうから。

「あの時こうしていれば良かったのに・・・」
「これからどうなるのか不安だ・・・」

とにかく心がいまここにない。確かに、過去や未来ばかりを考えている状態が続いていたように思います。

脳の消費エネルギーのほとんどは、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳回路に使われていて、意識してないで動いているそうです。

DMNとは、内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉などから構成される脳内ネットワークのこと。心がさまよっているときに働く回路なんですね。人間の脳は1日の大半をさまようことに意識をとられている。

すなわち、脳は「現在」を考えることが苦手なようなんです。

マインドフルネスとは

そこで、活用したいのがマインドフルネスです。マインドフルネスとは、「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」。

マインドフルネスはおおよそ8つの領域で、脳構造に影響を及ぼすということがわかってきているそうです。

  • 前頭極(メタ意識)
  • 感覚野と島(身体感覚への気づき)
  • 海馬(記憶)
  • 帯状皮質
  • 眼窩前頭皮質(自己や感情の調整)
  • 上縦束と脳梁(左右の大脳半球の交通を担う)……

これらの部位に有意な構造変化(容積、密度)が見られた。科学的なエビデンスがあるのが、マインドフルネスの特徴と言えますね。

マインドフルネスの方法

マインドフルネスの方法をまとめてみます。けっこうシンプル。1日5分でも10分でも毎日継続することが大切になります。脳は習慣が好きなんですね。

目次

基本姿勢

椅子に座って、お腹はゆったりとした姿勢に。手は太ももの上で、目は閉じる。

身体の感覚に意識を向ける

接触の感覚(足の裏と床、お尻と椅子、手と太ももなど)を意識する。身体が地球に引っ張られる重力の感覚なども。

呼吸に注意を向ける

呼吸に関わる感覚を意識する。深呼吸はしなくてもOK。呼吸に合わせて1から10まで数えて、ラベリングするのも効果的。10まで数えたら、1に戻る。

雑念が浮かんだら

雑念が浮かぶのを否定しない。注意を呼吸に戻せばいい。呼吸は「意識の錨」。

マインドフルネスを継続するために

継続は力なり。まさに続けることが難しいわけですが、本書では継続のためのポイントも教えてくれます。全部で3段階あります。

初期 いまここに注意を向けることに躍気になる段階

ストレスを受けたときの自分の変化に気づくようにする。イヤなことが起きたとき、嫌なことが頭に浮かんだとき、自分の心はどんな反応をしているか、はたまた身体の感覚はどう変化したか、それを観察する。ストレスの原因を心の中で1つの文にしてみると、より反応がわかりやすい。

中期 いまここへと注意を向け直せる

呼吸に注意を向ける。『1』『2』『3』とラベリングをしてもいい。呼吸は自分をいまここへと呼び戻してくれる錨。

最終段階 努力せずともつねに心がいまここにある状態

最終段階になると、前頭葉扁桃体が対等な関係になる。

  • 前頭葉は人間の理性
  • 扁桃体は恐怖の対象から守ろうと活動する感情・本能

意識の向かう先を呼吸から身体全体に広げてみる。身体全体が呼吸をしているイメージを持つ。

歩行瞑想

歩いているときに、自分の手や脚の動き、地面と接触する感覚に注意を向ける。単純な動きでも、身体は複雑な動きをしていることが分かるはず! ラベリングを組みあわせて、「右」「左」など、ラベルを貼ってみるのも集中度が増す。

ムーブメント瞑想の1つで、歯ブラシしているときやシャンプーしているときなど、習慣化されている動きに注意を向けてもいい。

メッタ(慈愛を育てる方法)

メッタは、慈愛を育てる方法。人に対する愛情と慈しみを育むということ。いわゆるポジティブシンキングに近い概念かと思われる。

  • STEP1 通常のマインドフルネス呼吸法を10分続ける
  • STEP2 自分が慈しみたい人を心にイメージし、それによって起こる身体の感覚や感情の変化に注意を向ける
  • STEP3 その人に向けて次のようなフレーズを心の中で唱える「あなたがさまざまな危険から安全でありますように」「あなたが幸せで心安らかでありますように」「あなたが健康でありますように」

レイジーデーを取り入れる

レイジー・デーとはその名のとおり、怠ける日。ただサボるのではなく、自分のケアに集中してもらう日のこと。

モンキーマインドになっていると、脳が疲れやすくなる。モンキーマインドとは、頭のなかでサルたちが騒いでいる状態のこと。雑念が頭の中にずっといる。これは脳にとっては、たまったもんじゃない。

本書では、以下の例で解説してくれる。駅のプラットフォームで待っていると、「考え」というサルたちが乗客としてやってくる。電車は停車するけれど、そのまま発車する。自分はずっとプラットホームにいる、立ち位置は変えない。そうすると、「考え」の傍観者になれる。

駅と電車を同一視してはいけない。「考え」は自分自身じゃない。自分の「心」はプラットホームにずっといる。

このイメージはすごくよく分かる。悩みがあると、それが自分の象徴だと思ってしまいがち。自分ってこういう人間だよな…といつまでもクヨクヨしてしまう。

だけど「考え」はあくまでもそのときの思考。また違う環境や状況なら、「考え」は変わりうる。人間は『考え・気持ち・行動』の3つから成り立っている。だから、「考え」だけに囚われることはないということのようだ。

「考え」に名前をつけてラベリングする。それでも同じ「考え」が現れたときの対処法を本書から引用すると以下になる。

  • ① 捨てる——あまりにも何度も浮かんでくる考えであれば、『もう十分!』とばかりに頭の外に送り出す。シンプルじゃが、あなどれん方法じゃ。
  • ② 例外を考える——その考えが当てはまらないケースを考えてみる。同じ考えが現れるのは、同じ前提を置いているからじゃ。自分はどんな前提を置いてしまっているのかに思いを馳せると、それが当てはまらないケースが見つかるぞ。
  • ③ 賢者の目線で考える——自分が尊敬する人や歴史上の偉人なら、この考えについて何と言うだろうか、と考えてみるんじゃ。君のプラットホームに偉人の目線を招き入れるわけじゃな。
  • ④ 善し悪しで判断するのをやめる——マインドフルネスの基本はいまここをあるがままに受け入れることじゃ。その考えがいいとか悪いといった価値判断をしないノンジャッジメンタル(non-judgmental:判断しない)こそが基本じゃ。
  • ⑤ 由来を探る——なぜその考えが何度も現れてくるのか、その原因を探るという方法じゃな。なぜその電車は頻繁にプラットホームにやってくるのか。どこからその電車はやってくるのか。それを突き止める。繰り返し現れる考えの原因になっているのは、自分の中の満たされていない願望じゃ。これをディープニーズ(深い願望)という

怒りへの対処法

怒りは、扁桃体が優位になっている状態。暴走してアドレナリンが分泌している。怒りに対処するためのマインドフルネスの手法はRAINとなる。

  • ①怒りが起きていることを認識する(Recognize)
  • ②怒りが起きているという事実を受け入れる(Accept)
  • ③身体に何が起きているかを検証する(Investigate)
  • ④怒りと自分を同一視せず、距離をとる(Non-Identification

絶対に達成しないといけない。この思考に囚われている状態を、タスク・オリエンティッドという。こうなると、余裕がなくなり、怒りが生まれてくる。

エクアニミティ

レジリエンス(復元力)を鍛えるのが、エクアニミティ(Equanimity: 平静)という方法になる。瞑想中に、気になっていること、不安に思っていることを、心に思い描く。心の中でこんなセリフをつぶやく。

「(世の中はそういうものだ)」
「(どんなこともありのまま受け入れられますように)」

これを繰り返すだけ。

マインドフルネスは扁桃体を鎮静化して、視床下部-下垂体-副腎系を鎮める。副交感神経を優位にすることによって、ストレスへの抵抗性と心のバランスをつくりだす。

苦難というのは、将来への不安で増大されている。いま現在に集中することがいかに大事かが分かってくる。

ボディスキャンの方法

マインドフルネス瞑想、ボディスキャンは痛みに有効。

  • ①横になり(椅子に座ってもOK)、目を閉じて、身体がベッド・床・椅子に触れている感覚や重力の感覚に意識を向ける。また、呼吸に伴ってお腹が上下する感覚に注意を向ける
  • ②注意を左足のつま先へと下げていき、足が靴や靴下に触れる感じ、隣の指と触れる感じなど、つま先のさまざまな感覚に注意を向ける
  • ③つま先から「スキャン」する。息を吸うときは、呼吸が鼻から入り、身体の中を通って左のつま先に吹き込まれるイメージ。息を吐くときは、左のつま先にある空気が、身体の中を通って鼻から出て行くイメージで

よい睡眠のために

  • 就寝・起床の時間を一定にする(←体内時計リズムを脳に覚え込ませる)
  • カフェインなど刺激物を控える(←交感神経が高まると寝つけない)
  • 悩みごとを書き出してから床につく(←悩みは脳を休ませない)
  • 朝起きたら日光を浴びる(←睡眠・覚醒のリズムができやすくなる)
  • 適度な運動をする(←適度な疲労は睡眠の助けになる)
  • 長時間の昼寝は避ける(←夜に睡眠欲求が減る。リズムが狂う)
  • 寝る直前の食事は控える(←食べ物の消化活動は眠りを妨げる)
  • ベッドでテレビやスマホを見ない(←脳が寝る場所でないと勘違いする)
  • 一度目が覚めたらベッドを出る(←ベッドは眠る場所と脳に覚え込ませる)
  • 就寝のための自分なりの儀式を持つ(←脳は習慣が好き)
  • 寝室をリラックスできる環境にする(←副交感神経優位で睡眠を促進

食べ物

  • 毎日摂取したほうがいいもの 野菜、果物、ナッツ類、豆類、イモ類、全粒穀物、魚、エクストラ・バージン・オリーブオイル、チーズ、ヨーグルト
  • ほどよく摂取したほうがいいもの 鶏肉、卵
  • 摂取を極力控えるべきもの 赤身肉 「カロリー制限や水分補給も、脳の疲労回復のためには大事だと言われている

休日の過ごし方

  • ① オン/オフ切り替えの儀式を持つ(←特定の音楽を聴く、シャワーを浴びるなど。脳は2つを同時にできない。仕事モードと休息モードをはっきりさせる)
  • ② 自然に触れる(←人を超えたスケールの非人工物に触れることで、日常・仕事モードからの解放を促進する)
  • ③ 美に触れる(←美しいという感覚は、脳の報酬系・背外側前頭前野などへ作用するとされる)
  • ④ 没頭できるものを持つ(←好きなことに集中すると、報酬系が刺激される)
  • ⑤ 故郷を訪れる(←育った場所には安心がある。安心は不安の反対

マインドフルネスの歴史

歴史について本書から引用。

マインドフルネスの起源は原始仏教にあると言われている。19世紀ビクトリア朝時代のイギリス人がスリランカを訪れた際、この概念に出会って西洋に持ち帰ったのだという。西洋人が東洋の思想や瞑想法を自分たち用にアレンジしたものだと言えばいいだろうか。そのため、もともとあった宗教性は排除されており、どちらかと言えば実用面に比重が置かれている。

マインドフルネスの父について。

「マインドフルネスの父とも言われるジョン・カバット=ジンの名前は知っておるかな? マサチューセッツ大学のカバット=ジンは、従来の認知療法に瞑想を組み込んだマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR: Mindfulness-based Stress Reduction)という独自の方法を構築した人物じゃ」

日本での歴史として。

森田療法内観療法は、どちらも心身症などの治療法として日本で生まれたものだ。1919年に森田正馬によって創始された森田療法は、一定の作業などに没頭させることで、考えにとらわれない「あるがまま」の状態をつくることを目指している。 1960年代から導入された内観療法は吉本伊信にルーツがあり、こちらも自分の内面を客観的に見つめる方法をとる。エビデンスに乏しい「時代遅れの治療法」というイメージが強かったが、たしかにマインドフルネスに通じるところは多そうだ

幸せの遺伝子について

最後に幸せと遺伝子の関係について。本書によると、人間の幸せの48%は遺伝子で規定されるらしい。財産や社会的地位の影響はわずか10%。残り42%はコントロールできるともいえる。

この辺りもポジティブに捉えられるかどうか、なんだろうなと。

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