なんだか悩みってループしませんか?
仕事のことで悩み、健康のことで悩み、人生で悩む。同じことでグルグル悩んでいる気がします。
人間の悩みなんてだいたい同じで、ほかの人も同じように悩んでいるわけです。そして人類は研究を重ねて、人間の悩みに科学的に答えを出している。そう、どうすればいいかなんて、わかりきっているんですね。
鈴木祐さんはサイエンスというエビデンスで、人間の悩みにぐいぐいと迫ってきます。
人生(運、自分、時間)、仕事(適職、ストレス、集中力)、健康(体調、不老長寿)といった内容に分けて、科学が出した答えをまとめていきます。
人生を生きやすくするためには?
人生を生きやすくするために、運、自分、時間といった観点から、科学的な情報をまとめていきます。
運をよくなる
人生は能力より運で決まる。生まれた場所や周りの環境によって、裕福になるのかどうかはかなり左右されるのは、理解できることでしょう。しかし、運に左右されるから人生をあきらめようではなく、運は引き寄せられるとするのが、鈴木祐さんの主張です。運は科学的に引き寄せることができるのです。
* 幸運=(行動×多様性×察知)×回復
幸運の方程式は、ものすごくシンプルです。
行動の母数は多ければ多いほどいい。そして多様性は、ルーティンではなくて突飛なことができるかどうか。スペシャリストよりジェネラリストの事業家のほうが成功し、年収換算で1億円以上の差があったという研究結果があるそうです。
そして察知は、幸運や異変に気づけるかどうか。フレミングは菌が繁殖してないことを見つけて抗生物質を発見、パーシーは軍事用レーダーを実験してチョコを溶けたことで電子レンジを発明しています。
当然ながら行動が多ければ、失敗することもあるわけで、回復力が問われるというわけです。
で、どうすればいいかというと…
普段会わない人と会うことで多様性を担保して、ここを深掘りしようと思ったら集中していく。察知力を鍛えるには、問いを連鎖させることをおすすめしています。理由(なぜ?)、予測(どうなる?)、意図(どういうこと?)を、頭のなかで考えていきます。運をたぐる寄せるために、できることはたくさんあるのです。
脳を活用する
生きるのが苦しい…
鈴木祐さんは、あらゆる苦しみの共通項を見極めることで、普遍的な対策を立てることができるとしています。
まずは脳の仕組みを考えてみると、嫌なことはあとまで残るんですね。良いことはすぐに忘れてしまう。太古の昔から脅威にさらされて、臆病さやネガティブさが備わっているわけです。
で、人間の特異性として、動物はイチの矢を受けて収束するが、人間は二の矢も受けて、ネガティブ思考に陥ってしまうというのです。
ネガティブになりやすいのが人間。これは自己の問題に行きつくんですね。自己とはどんな場所でもどんな時間軸でも私は一貫した存在であるともたらすもの私は悪くない、私は前も怒られた、私の未来はどうなるのか?
だけど、自己なんて1つなわけではないんです。いろいろな自己が人間のなかには内包されている。
自己から脱却するには、「セットを整えること」が大事になってきます。セットとは、個人の性格、感情、期待、意図などの状態であり、内部環境・外部環境を調整することをしていくべきなのです。
感情の粒度を上げるために、いまの感情がどういうものだったのか、感情を言葉でラベリングしていく。そして自己を理解していく必要があるわけです。自己を見つめていきましょう。
究極の時間術
時間との付き合い方は、人生を満たすためには大事な要素です。
時間の真実としては、以下が示されています。
- 時間術を駆使しても、仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
- 時間の効率を気にするほど、作業の効率は下がってしまう
- 時間をマネジメントするという発想の根本に無理がある
人によって時間術が効いたり効かなかったりするのは、時間感覚に個人差があるからなんですね。自分のタイプに合った時間感覚の調整方法を知ることができます。
- 時間感覚=予期と想起の変化量
- タイプ別に予期と想起のズレを調整する
- 時間不足の原因は生産性にこだわること
時間をうまく使うという考え方には根本的な問題があり、「時間をうまく使いたい」「仕事の効率を上げたい」といった欲望そのものが、最後にはあなたの幸福と生産性を下げる方向に働くのです。
そのため、以下のステップがおすすめされています。
- ステップ1チャートに記入する
- ステップ2重複する回答を見つける
- ステップ3生きがいを掘る
ステップ1は、自分が楽しいこと、世間が必要とすること、世間から金銭もらえること、自分が得意なことを記入していきます。
ステップ2は、そのなかで重複する回答を見つけていくのです。情熱(楽しいこと得意なこと)、使命(楽しいこと世間が必要とすること)、職業(金銭もらえること世間が必要とすること)、専門(得意なこと金銭もらえること)となります。
ステップ3で、それぞれ足りないことを考えていきます。
時間との距離の付き合い方、しっかり見つめていきましょう。
幸せな働き方とは?
幸せに働くにはどうすればいいのか?適職の見つけ方、ヤバい集中力、ストレス解消の観点から見ていきましょう。
もう迷わない仕事の見つけ方
どうやって仕事を探していけばいいのか、今の仕事は自分に合っているのか。仕事については、実に悩むことが多いと思います。
「好きを仕事にしない」「給料の多さで選ばない」「仕事の楽さで選ばない」「伸びる業界や職種で選ばない」といったことは、科学的なエビデンスがあります。
例えば「好きを仕事にしない」は、ミシガン大学の研究によると、好きな仕事をやるよりも、仕事はやり続けるうちに好きになるほうが幸福度が高いんですね。
そして仕事をするうえで、「自由があるか」「達成感があるか」「タイプは合っているか」「バラエティに富んでいるか」「親切さがあって接しているか」という要素が大事になってくるのです。
脳科学を踏まえて、適した仕事に巡り会えるようにしましょう。
ヤバい集中力を身につける
集中力を求める場面は多くあると思います。まずはじめにそもそも「集中力とは何か?」という問題を深掘りすべきだと、鈴木祐さんは提言します。
怠け癖があったとしても、その原因は怠け者だからでも才能がないからでもない。人間の心のメカニズムを理解していないだけなんですね。だからこそ、どんな人でもヤバい集中力を身につけることができるのです。
集中力を高めるポイントは、獣と調教師を理解すること。
- 獣=人間の本能
- 調教師=理性
獣と調教師が主張をぶつけ合い、肉体の支配権をめぐって常に戦っているんですね。で、獣はパワーが大きいので、どう導くかがポイントです。
- 明確なルーティンを持つ:勉強前に指を鳴らす、散歩する
- 新たな肩書きをつける:自分の物語をつくる
- 感情をスルーする:獣は接続時間は短い
いちばん参考にしたいのは、思考や感情から距離を置くことだと思いました。ただただ自分を観察する。それだけで、ヤバい集中力を手に入れることに近づけるはずです。
ストレス解消の方法
なんとなくストレス解消になった。しかし本当にそうでしょうか?ストレス解消には、上辺だけのテクニックではダメで、科学的に根拠のある方法が必要になります。
ストレスには3種類あります。
- ショートストレス:短い時間で、お腹こわした、あいつムカつくなど
- ループストレス:ショートストレスが何度も起こることで、部屋が汚い、仕事のミスを思い起こすなど
- ロングストレス:人生へのダメージが大きいもので、ブラック企業で働く、借金している、いじめのトラウマなど
大事なのはループストレスや、ロングストレスをどう解消するか?ということ。
まずは、ストレスを的確に把握していきましょう。頭のなかに架空の温度計を考えて今の温度を決める。怒り心頭なら10点、何もイライラしなければ0点、明確な数字にすることで脳が安心していくんですね。
ほかにも、以下のストレス根本原因があります。
- 栄養のアンバランス:食事改善すればだれでもメンタル強くなる
- 思考のアンバランス:ミスしたとき客観的にしたいほうがいい、書き出して思考の癖を修正する
- 受容のアンバランス:ネガティブな状況を受け入れること
しっかりストレスを解消して、前を向いていけるようにしましょう。
健康でいるためには?
健康でいることは、幸せに生きるための前提条件。科学的な根拠がある健康法を見ていきます。
最高の体調を手に入れる
ほとんどの体調の不良は、ずばり文明病のせい。
たとえば肥満。1950年代は1割以下だったのに、2010年代は35%という率になっています。うつ病も平成8年43万人だったのに、平成23年95.8万人に。パプアニューギニアのカルリ族は2000人いるのですが、うつ病ゼロで自殺なしだそうです。
高カロリーのものを食べるのが人類は生き残り策だったわけで、意志の力で抗うことはできないんですね。
さらに炎症が起こることが体の不調の原因になっているそうです。
炎症とは、細胞レベルで起きる火事のようなもの。アレルギーによる目の充血や鼻詰まり、風邪も、炎症が原因だそう。うつ病も、炎症が原因という説があり、人体がダメージを受けると、サイトカインという炎症性の物質が分泌されて、このサイトカインが脳機能に影響を与えているそうなんです。不眠や謎の不調は、体の炎症が関係しているといいます。
ではどうすれば体の炎症を押さえられるのか?。6つの対策が考えられます。
- 腸内環境を整える:発酵食品(納豆、ヨーグルト、キムチ)、食物繊維(野菜、フルーツ)を摂取する
- 自然に触れる:ダービー大学の研究では、自然に触れると疲れやダメージを回復させるという結果に
- 睡眠をとる:ベッドの上では眠ること以外をしない、30分以内に眠る
- 良い人間関係をもつ:孤独ではないと感じると最大15年も寿命が伸びる
- 不安をなくす:今ここを考えるマインドフルネスや瞑想を取り入れる
- 仕事をルール化する:朝やりたいこと3つ、週やりたいこと3つ、月やりたいこと3つを書いておく
できるだけ取り入れていくことが、最高の体調を手に入れることにつながります。
不老長寿を手に入れる
アンチエイジングについての論文を読むと、正しい若返りには、共通した原則があることがわかったといいます。それは以下の3段階があること。
- 苦痛:自分の心とカラダに意図的にダメージを与える
- 回復:心身が受けたダメージを徹底的に癒す
- 往復:苦痛と回復のフェーズを繰り返す
適度な苦痛は私たちの力を増してくれるんですね。運動やサウナはまさにそう。精神も苦痛によって成長するといいます。2018年ケンブリッジ大学の研究によると、過去にネガティブな経験の回数が多い人ほど、記憶力や注意のコントロール力が高い傾向があったそうです。
そして運動は休憩とセットです。
- 運動=トレーニング+休憩
トップパフォーマーほど休憩をうまくとっているといいます。そのために以下の要素が大切になります。
- 休憩の目的を明確にする:仕事を忘れる、脳のひらめきを待つなど
- 目的達成に必要な休憩法を決める
- 必ず決めたとおりに休む:いきあたりばったりはNG
苦痛は若返りシステムを起動させる、回復は若返りシステムを実行させるというわけです。このサイクルをしっかり回すことで、不老長寿への道を進むことができるのです。
サイエンスの力で生きやすくなれる
科学で答えが出ているのであれば、それを知っておくのにマイナスはないわけです。盲目的に信じることも必要なくて、科学を前提に自分にとってなにを取り入れるのか、そこを考えていければと思います。興味を持ったテーマは、さらに書籍で読んでみてほしいです。かなり1冊が濃厚なので。
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