ドラマ『アンチヒーロー』は、手段を選ばない弁護士が主役の作品です。依頼人が本当に無実なのか、視聴者にも分からないまま話が進む。この居心地の悪さが最後まで続きます。各話を簡単にまとめたうえで、その狙いを考えます。
ドラマ『アンチヒーロー』あらすじ
かつて検事だった弁護士が、無罪を勝ち取ることに徹底的にこだわります。証拠の取り方も、相手の崩し方も、正攻法とは言えない。その一方で、彼には過去に自分が関わったある事件をめぐる目的がありました。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:明墨が殺人の容疑者の弁護を引き受ける
- 2話:提出された鑑定結果に疑問を投げかける
- 3話:政治家の息子が関わる事件を担当する
- 4話:明墨が服役中の人物と面会し、過去との関わりが見える
- 5話:検察側の中心人物と直接対峙する
- 6話:出版関係者の弁護を通じて、政治との接点が浮かぶ
- 7話:相手陣営の内部を崩し、追及が進む
- 8話:明墨自身が過去に何をしたのかが明かされる
- 9話:当時の証拠をめぐる新たな事実が出てくる
【感想】「無罪=正義」ではないと示し続ける
この作品でいちばん面白いのは、無罪を勝ち取っても後味が良くないことです。
依頼人が本当にやっていないのかは、最後まで明示されない回もある。視聴者は勝利を素直に喜べない。法廷ものとしてはかなり意地の悪い作りですが、そこが主題そのものなんですよね。
長谷川博己と野村萬斎の対決
明墨と伊達原のやり取りが、この作品の背骨です。どちらも声を張らず、笑顔のまま刺し合う。
とくに野村萬斎さんの間の取り方が独特で、台詞のテンポが他の登場人物とまるで違う。この異物感が、相手の不気味さとして機能しています。
【考察】この作品の主題は「制度への不信」
私は、明墨がやっていることは弁護ではなく、司法制度への異議申し立てだと考えています。理由が2つあります。
理由①明墨がかつて検事だった
この設定が決定的です。彼は制度の内側にいた人間で、そこで何が起きるかを知っている。
中から変えられないと判断したから外に出た。つまり彼の汚い手法は、制度が公正に機能しないという前提の上に成り立っているんですよね。
理由②冤罪が物語の核にある
もうひとつ、全体を貫く軸が過去の冤罪事件です。しかも明墨自身がその成立に加担している。
加害の側にいた人間が、自分のしたことを取り消そうとしている。正義のためではなく、贖罪のために動いていると読むと、彼の異常な執着にも説明がつきます。
【考察】タイトルの「アンチヒーロー」の意味
アンチヒーローは、通常なら「悪役的な主人公」を指します。ただこの作品では、もう一段意味がある気がします。
ヒーローとは、制度が正しく機能していれば要らない存在です。彼が必要とされている時点で、制度が壊れているということ。ヒーローの不在ではなく、ヒーローが要る状態そのものへの批判がタイトルに込められていると思います。
ドラマ『アンチヒーロー』登場人物
- 明墨正樹(長谷川博己):弁護士。過去に検事だったことがある
- 赤峰柊斗(北村匠海):弁護士
- 紫ノ宮飛鳥(堀田真由):弁護士
- 白木凛(大島優子):パラリーガル
- 青山憲治(林泰文):パラリーガル
- 紗耶(近藤 華):保護犬を見ているが明墨と関係がある
- 志水裕策(緒形直人):獄中の謎の男
- 緋山啓太(岩田剛典):ある事件の容疑者
- 倉田功(藤木直人):刑事部長
- 桃瀬礼子(吹石一恵):写真に写る謎の女性
- 緑川歩佳(木村佳乃):東京地方検察庁の検察官
- 伊達原泰輔(野村萬斎):東京地方検察庁のトップ検事正
ドラマ『アンチヒーロー』スタッフ・主題歌
- プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、
- 演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
- 脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
- 音楽:梶浦由記、寺田志保
- 主題歌:milet「hanataba」
- 法律監修:國松崇
- 警察監修:大澤良州
- 制作著作:TBS
『アンチヒーロー』は制度への異議申し立て
というわけで、ドラマ『アンチヒーロー』の感想と考察でした。スカッとしない法廷ものですが、その不快さが狙いだと思います。皆さんはどう見たでしょうか。
