『十二国記』読む順番のおすすめは、エピソード番号順です! エピソード0の『魔性の子』は読まなくても問題ありません(ただし驚きの仕掛けはあるので、エピソード1、2のあとに読んでほしい)。
小野不由美の『十二国記』シリーズは読めば、必ずハマってしまうと断言できます。
はじめは『魔性の子』を読んだんですね。ミステリー小説が好きだったこともあったので。謎が謎を呼ぶ展開で、おもしろかった。しかし小野不由美の仕掛けが明かされるのは、十二国記シリーズの『風の海 迷宮の岸』を読んでから。まさかの壮大な物語が、その背景にあったわけです。
そして、18年ぶりの最新刊『白銀の墟 玄の月』が刊行されて、このシリーズを読んできてよかったと心から思えました。
とはいえ、十二国記シリーズはかなり複雑。各巻で主人公が変わります。読む順のおすすめをまとめながら、各巻のストーリー解説もしていこうと思います!
- 『十二国記』どの順番で読むべき?
- 『十二国記』30周年記念ガイドブック
- 『十二国記』最新刊は?
- 『十二国記』画集
- 『十二国記』あらすじ・ストーリー解説
- 『十二国記』アニメ版
- 『十二国記』マンガ版
- 『十二国記』は唯一無二のシリーズ作品
『十二国記』どの順番で読むべき?
『十二国記』をどの順番で読むといいのか、エピソード番号順・刊行順・最もおすすめしたい順番を紹介します。
エピソード番号順【おすすめ!】
新潮文庫に集約されてから、十二国記はエピソード番号が振られました。出版社や著者がおすすめする順番といえます。
- Episode0.『魔性の子』
- Episode1.『月の影 影の海』(上下巻)
- Episode2.『風の海 迷宮の岸』
- Episode3.『東の海神 西の滄海』
- Episode4.『風の万里 黎明の空』(上下巻)
- Episode5.『丕緒の鳥』
- Episode6.『図南の翼』
- Episode7.『華胥の幽夢』
- Episode8.『黄昏の岸 暁の天』
- Episode9.『白銀の墟 玄の月』(4巻)
刊行順【リアルタイム派はこちら!】
『十二国記』の刊行順で読むと、こちらの順番になります。リアルタイムで読んでいるのと同じ感覚になれるので、悪くないと思います。ポイントは魔性の子。まったく関係がない話のようでいて、あとでつながってくる。その驚きを味わえます!
- Episode0.『魔性の子』(1991年9月 )
- Episode1.『月の影 影の海』上下巻(1992年6月)
- Episode2.『風の海 迷宮の岸』(1993年3月)
- Episode3.『東の海神 西の滄海』(1994年5月)
- Episode4.『風の万里 黎明の空』上下巻(1994年7月)
- Episode6.『図南の翼』(1996年2月)
- Episode8.『黄昏の岸 暁の天』(2001年5月)
- Episode7.『短編集 華胥の幽夢』(2001年9月)
- Episode5.『短編集 丕緒の鳥』(2013年7月)
- Episode9.『白銀の墟 玄の月』4巻(2019年10月)
最も楽しめる順番は?【超絶おすすめ!】
最も議論になるのは、『魔性の子』をいつ読むのか?なんですね。単発で現代劇として完結しているため、いきなり最初に読むと、十二国記の世界と離れているのでハードルが高い。なので、おすすめしたいのは、『風の海 迷宮の岸』を読んだあとです。
- Episode1.『月の影 影の海』(上下巻)
- Episode2.『風の海 迷宮の岸』
- Episode0.『魔性の子』
- Episode3.『東の海神 西の滄海』
- Episode4.『風の万里 黎明の空』(上下巻)
- Episode5.『丕緒の鳥』
- Episode6.『図南の翼』
- Episode7.『華胥の幽夢』
- Episode8.『黄昏の岸 暁の天』
- Episode9.『白銀の墟 玄の月』(4巻)
時系列順【玄人はこちら!】
物語上の時期列順です。全体像をつかんでいれば、十二国記の歴史を体験できる読み方になります!
- Episode3.『東の海神 西の滄海』
- Episode5.『丕緒の鳥』青条の蘭
- Episode6.『図南の翼』
- Episode7.『華胥の幽夢』華胥
- Episode2.『風の海 迷宮の岸』
- Episode7.『華胥の幽夢』冬栄
- Episode1.『月の影 影の海』(上下巻)
- Episode5.『丕緒の鳥』丕緒の鳥
- Episode7.『華胥の幽夢』書簡
- Episode4.『風の万里 黎明の空』(上下巻)
- Episode7.『華胥の幽夢』乗月
- Episode7.『華胥の幽夢』帰山
- Episode5.『丕緒の鳥』落照の獄
- Episode8.『黄昏の岸 暁の天』
- Episode9.『白銀の墟 玄の月』(4巻)
『十二国記』30周年記念ガイドブック
公式ガイドブックが発売されています。かなり充実した内容です。小野不由美ロングインタビューが圧巻です。そして担当編集者のウラ話も。個人的には、『魔性の子』の担当編集者が大森望だったことにびっくりしました。いまやSF批評や『三体』の翻訳で知られる大森望ですが、ここからすべてがはじまったかとテンションが上がるインタビューでした。各巻のストーリー解説もあるので、ぜひ手にとってほしいと思います。
『十二国記』最新刊は?
『十二国記』最新刊は、Episode9『白銀の墟 玄の月』(4巻)になります。
単行本になっていない、短編「幽冥の岸」がありますが、次の短編集に収録予定となっています。新作短編集は2021年刊行とアナウンスがありましたが、いまだに刊行されていません。
『十二国記』画集
『十二国記』といえば、山田章博さんのイラストです。どの画集もとにかく美麗すぎます。描き込みが多いので、これくらいの大きなサイズでじっくりと見ておきたい。
『十二国記 絵師 山田章博の世界』
『十二国記』シリーズ絵師・山田章博のこれまでのイラストをまとめた1冊。『十二国記』だけではなく、小説の装画・挿絵、アニメやゲームのキャラクターデザインなどが掲載されています。
読んでおきたいのは山田章博のインタビュー、そして制作現場の密着取材です!
「十二国記」 画集《第一集》久遠の庭
1991年から2006年までの初期作品に加えて、描き下ろしもある全95点。
「十二国記」画集《第二集》青陽の曲
新潮文庫・完全版の装画・挿絵全点が収録。さらに、グッズ用やイベント用の作品や、描き下ろしを加えた画集。
『十二国記』あらすじ・ストーリー解説
『十二国記』のそれぞれのストーリーについて解説していきます。
『魔性の子』
教育実習で母校に戻ってきた大学生の広瀬は、周りとは異なる雰囲気を持った男子生徒の存在が気になっていた。高里要という生徒は、小生のころ神隠しにあい、1年姿を消していたという。そして高里をからかった生徒たちが、大怪我をしたり死亡したりするという不可解な事件が起こる。高里が元凶なのか?
『魔性の子』は単体でも十分に楽しめるのに、十二国記との関連性を知ることの衝撃といったら…。当時に戻って体験したいです。
『月の影 影の海』(上下巻)
高校1年生の中嶋陽子は、闇のなかを異形の野獣に追われるという夢に悩まされていた。そんなある日、金色の髪を伸ばした男が現れる。ケイキと名乗る男と陽子は、と突如襲われた巨鳥から逃れるため、海面に映った月の影をくぐり抜ける。そこは異世界だった…。
とにかく陽子がかなりツラい状況に追い込まれるんですね。それこそがリアル。そりゃ異世界にいったらそうなるよね。陽子を応援したくなること間違いなし。
『風の海 迷宮の岸』
戴国(たいこく)の麒麟である泰麒(たいき)の物語。泰麒は、天地を揺るがす蝕が起こったときに、人の子として育った。10年の時を経て、泰麒は故国へ戻るものの、王気を感じることができない状態になっていた。王になろうとする者が集まるなか、泰麒は王を選ぶことができるのだろうか。
十二国記の根幹といえる、王と麒麟の関係性にフォーカスされています。
『東の海神 西の滄海』
延麒・六太の誓約により、尚隆(しょうりゅう)が延王となってから20年。国は復興しつつあった。そこで戦により家族を失い、妖魔をあやつる更夜が、六太を拉致し謀反を起こす。2人の理想がぶつかる。果たして国の正しい形とは?
尚隆と六太の関係がいいんですよね。ライトな感じなのに、2人には絆がある。『十二国記』シリーズのなかでも、いいバディ感があります。
『風の万里 黎明の空』(上下巻)
慶国の王となって、陽子はまったく政ができずに苦悩し、国を離れることにした。芳国の国王だった父が殺されて平穏な暮らしを失った祥瓊(しょうけい)、蓬莱から才国にたどり着いた鈴と、陽子は巡り合う。
陽子は王になっても苦悩していて、これがまたリアルなんですよね。少女たちが集う話は、胸が熱くなります。
『丕緒の鳥』
さまざまな職業の市井の人々の話を丹念に描く。「丕緒の鳥」では慶国の儀礼で使われる陶製の的を作る職人、「落照の獄」では柳国の司法官、「青条の蘭」では 雁国の新種の動植物を管理する役人、「風信」では慶国の暦を作る役人が登場します。
短編集。十二国記の世界観が知ることができる内容です。各作品、この世界に生きている人がいると感じさせてくれます。
『図南の翼』
恭国は先王が亡くなってから27年、王が不在の状態が続いていた。治安は乱れ、妖魔が徘徊していた。少女・珠晶は、不自由もなく闊達に育つが、国を救うために決断する。大人が行かないのなら、あたしが蓬山(ほうざん)を目指す。12歳の少女は、王として麒麟に選ばれることになるのか?
かなり完成度の高い作品。珠晶のキャラクターがいいんですよね。成長物語として読み応えがあります。
『華胥の幽夢』
- 「冬栄」戴国と漣国と交渉が行われる。泰麒の初外交が描かれる。
- 「乗月」王と麒麟を殺害していながら、なぜ月渓は玉座に就こうとしないのか?その謎を祥瓊を助け相棒役を勤めた桓魋が務める。
- 「書簡」景王・陽子が登場。楽俊への手紙にしたためた願いが明かされる。
- 「華胥」才国の采麟が病に伏してしまう。才国の命運はどうなるのか。
- 「帰山」利広と延王の会話から、十二国の情勢が見えてくる。
メインキャラクターが複数登場する短編集。特に「帰山」は、十二国の全貌が見えてくるので、読んでおきたい作品です。
『黄昏の岸 暁の天』
戴国の驍宗が王となって、再興に向かう。しかし、反乱軍の鎮圧に赴いた驍宗は戻ってこない。さらに泰麒までも姿を消すことに。王と麒麟がいない国はどうなってしまうのか?戴国の将軍・李斎は、慶国の陽子のもとに、助力を得ようとする。
これまでの登場人物が勢ぞろいして、かなりテンションが上がります。最高です。
『白銀の墟 玄の月』(4巻)
戴国についに泰麒が帰還する。玉座を奪った阿選は、権力を手にしているものの、なぜか政を行おうとしない。一方、李斎は、王だった驍宗の行方を追う。
ここまで泰麒を追ってきて読んでいれば、さらに感動が深まること間違なし。高水準の政治の駆け引きが展開されていきます。
『十二国記』アニメ版
『十二国記』はNHKでアニメ化されています。全45話。2002年4月9日から2003年8月30日に放送されました。
原作の「月の影 影の海」「風の海 迷宮の岸」「書簡」「風の万里 黎明の空」「乗月」「東の海神 西の滄海」がアニメになっています。
- 「月の影 影の海」第1話〜第14話
- 「風の海 迷宮の岸」第15話〜第21話
- 「書簡」第22話
- 「風の万里 黎明の空」第23話〜第39話
- 「乗月」第40話
- 「東の海神 西の滄海」第41話〜第45話
『十二国記』マンガ版
『十二国記』マンガ版は、アニメ画像をもとにしてコミックス化しています。アニメ39話を15冊でまとめています。
アニメを見るには時間がなく、一気に『十二国記』の内容を知るにはおすすめです。
『十二国記』は唯一無二のシリーズ作品
『十二国記』の世界観の深みはもちろんのこと、政治劇や青春劇といった高水準の物語が楽しめるシリーズなんですね。『白銀の墟 玄の月』までを読めた幸せをぜひ味わってほしいと思います!