とにかく胸が熱くなるビジネス小説を読みたいなら、池井戸潤はおすすめです。いまやヒットメーカーでほぼすべての作品が映像化されていますよね。
池井戸潤作品をがっつり解説していきます。
池井戸潤 最新作
現時点での池井戸潤の最新作をチェックしておきましょう。
『ハヤブサ消防団』
ミステリ作家VS連続放火犯!
のどかな集落であるハヤブサ地区に移住したミステリ作家・三馬太郎。太郎は地元の消防団に入団することになりますが、連続した事件について気づくことになります。
2023年7月期、テレビ朝日にて中村倫也主演でドラマ化されます。
池井戸潤 個人的ベスト5
池井戸潤の小説で個人的に好きなベスト5はこちら!
- 『空飛ぶタイヤ』
- 『七つの会議』
- 『民王』
- 『半沢直樹 ロスジェネの逆襲』
- 『下町ロケット ガウディ計画』
池井戸潤シリーズ作品
まずはシリーズとなっている作品を整理しておきましょう。
半沢直樹シリーズ
ドラマ化されて最高視聴率42.2%、大ヒットを記録しました。池井戸潤作品を語るにはまずは外せないシリーズです。
- 1作目『半沢直樹 オレたちバブル入行組』
- 2作目『半沢直樹 オレたち花のバブル組』
- 3作目『半沢直樹 ロスジェネの逆襲』
- 4作目『半沢直樹 銀翼のイカロス』
- 5作目『半沢直樹 アルルカンと道化師』
下町ロケットシリーズ
下町工場と大企業の論理が対立する構図は、まさに池井戸作品の醍醐味。ドラマでは、TBS日曜劇場では阿部寛が主演、WOWOWでは三上博史が主演でした。
- 1作目『下町ロケット』
- 2作目『下町ロケット ガウディ計画』
- 3作目『下町ロケット ゴースト』
- 4作目『下町ロケット ヤタガラス』
花咲舞シリーズ
カラッと痛快な花咲舞が活躍するシリーズです。ドラマでは、杏が主役を演じました。
- 1作目『不祥事』
- 2作目『銀行総務特命』
- 3作目『花咲舞が黙ってない』
民王シリーズ
コメディ色が強いシリーズ。ドラマは菅田将暉、遠藤憲一のダブル主演。高橋一生が秘書役でブレイクしました。
- 1作目『民王』
- 2作目『民王 シベリアの陰謀』
半沢直樹シリーズ作品紹介
半沢直樹シリーズの各作品がどのような内容なのか、紹介していきます。
『半沢直樹 オレたちバブル入行組』
半沢直樹が登場する第1作。
東京中央銀行の融資課長である半沢直樹は、鉄鋼会社に5億円という多額の融資を行います。上司・浅野支店長の命令でした。その2ヵ月後、鉄鋼会社は倒産…。責任はすべて半沢直樹に押しつけられようとしていました。
罠にはめようとするなら、とことんやる。痛快リベンジ劇のおもしろさを味わえます!
『半沢直樹 オレたち花のバブル組』
半沢直樹に、銀行のドン・中野渡頭取から依頼が入ります。伊勢島ホテルを経営再建せよ、というもの。
大和田常務や金融庁・黒崎駿一といったシリーズでおなじみのキャラクターが、勢ぞろいします。大和田常務と半沢直樹の対決は読みどころ!
『半沢直樹 ロスジェネの逆襲』
半沢直樹は子会社・東京セントラル証券に出向していたものの、経営は最悪の状態でした。そこであるビジネスチャンスが舞い込みます。IT企業の東京スパイラル買収案件でした。
しかし横取りにきたのが、親会社である東京中央銀行。半沢直樹は若い部下とともに、倍返しができるのか?
『半沢直樹 銀翼のイカロス』
半沢直樹は、東京中央銀行に戻り、経営不振の航空会社・帝国航空の再建を命じられます。これがまた難問ばかり。政界が絡んできて、一癖も二癖もある人物が登場します。
半沢直樹シリーズのなかでもスケールの大きな展開が待っています。
『半沢直樹 アルルカンと道化師』
半沢直樹が東京中央銀行へ赴任してすぐに起こった美術出版社の買収案件。背後にある秘密の存在に行き当たります。
時系列としては、シリーズ1作目『オレたちバブル入行組』の前日譚になります。
下町ロケットシリーズ作品紹介
下町ロケットシリーズについて、各作品の魅力を紹介していきましょう。
『下町ロケット』
ロケットエンジンに関する技術を持つ佃製作所を、大企業が財力にものを言わせ特許訴訟を仕掛けてくる。佃製作所の二代目社長であり、元宇宙科学開発機構の技術者であった佃航平が立ち向かう。
大企業との闘いは熱くなりますし、佃製作所の技術者の誇りと意地がとにかくかっこいいんです。とはいえ勧善懲悪ではなく、大企業側の面々もそれぞれの経験から判断して動いていて、だからこそハラハラしてしまうのです。
『下町ロケット ガウディ計画』
佃製作所が、またしてもピンチに…。
人工心臓用のバルブの取引が、試作段階で打ち切られ、NASA出身社長・椎名のサヤマ製作所に横取りされてしまいます。さらに、帝国重工とのロケットエンジン開発でも、サヤマ製作所がコンペ相手として登場。
一方、かつての部下から医療人工弁のガウディの開発依頼が持ち込まれます。果たしてガウディ計画はどうなっていくのか?
『下町ロケット ゴースト』
佃製作所の最大の取引先である帝国重工が業績不振に…。打開策は新規事業!?
新たな難問が起こり、天才技術者が登場します。過去と裏切りから、佃製作所は危機を脱することができるのか、ハラハラ度が増しています。
『下町ロケット ヤタガラス』
宇宙から大地へ。帝国重工の財前道生が、準天頂衛星・ヤタガラスを利用した事業計画を立ち上げます。佃製作所がタッグを組む相手に選ばれますが、思いがけないライバルが現れます。開発ストーリーに胸打たれます!
花咲舞シリーズ作品紹介
花咲舞が躍動するシリーズについて、各作品を解説していきます。
『不祥事』
花咲舞シリーズの8編の短編集。曲がった相手には平手打ち、権力者であっで正論を貫き通す。花咲舞の痛快なキャラクターが堪能できます!
『銀行総務特命』
帝都銀行で不祥事処理を任された指宿修平がさまざまなトラブルに巻き込まれます。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…。読み応えのある短編シリーズになっています。なお、花咲舞は登場しないのですが、ドラマの原作にはなっています。
『花咲舞が黙ってない』
花咲舞が帰ってくる!ダメ視点や勘違い部下の指導に奮闘しているなか、花咲舞は組織の秘密にたどり着いてしまいます。7本の短編集。
民王シリーズ
個人的には大好きなシリーズ。ドラマも楽しんで視聴していました。
『民王』
総理の父とドラ息子が入れ替わった!?知識ゼロで果たして政治を仕切ることができるのか。
ユーモアたっぷりに政治の世界を風刺しながらも、世の中を本気で考えることが必要だと思わせる内容になっています。
『民王シベリア陰謀』
民政党のマドンナ、高西麗子が倒れた。原因は未知のウイルス。まさかの感染症パニックが、泰山とドラ息子を襲います。現実とリンクさせながらも、かなりSF寄りのストーリーが展開されます。
シリーズ外おすすめ作品紹介
ここからはシリーズではない池井戸潤作品を紹介していきます。
『空飛ぶタイヤ』
大型トレーラーから脱落したタイヤが母子を直撃。母親が死亡してしまいます。事故を引き起こした運送会社の社長と、リコール隠しを行った大手自動車メーカーとの対決を描いています。
運送会社の面々や自動車メーカー側の人物たちが、それぞれしっかりと造形されています。2002年に起きた三菱自動車の大型トレーラーが脱輪して母子3人が死傷した事故や、三菱自動車によるリコール隠しがモチーフとなっている。池井戸潤は元三菱銀行員なので、怒りを持って本書を執筆したといいます。映画版では長瀬智也が主演、WOWOWドラマ版では仲村トオルが主演しています。
『七つの会議』
きっかけはパワハラ。エリート課長を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下で居眠り八角と呼ばれた社員だった。原島は事態の収拾を命じられることになります。
映画では、野村萬斎が主演で、居眠り八角を演じきりました。
『アキラとあきら』
小さな町工場の息子である山崎瑛、大手海運会社の御曹司・階堂彬。それぞれの人生が重なったとき、逆境に立ち向かうアキラとあきらの戦いがはじまる。2人がライバル関係ではなく、2人ともフォーカスが当たり共闘していくんですね。
WOWOWドラマ版では、斎藤工と向井理が主演。映画版では、竹内涼真と横浜流星が主演しています。
『陸王』
足袋づくり100年の老舗がランニングシューズの開発に挑む。足袋業者・こはぜ屋は、従業員20名くらいの企業で、業績は右肩下がり…。そこからランニングシューズ開発へ。
ドラマではTBS日曜劇場で、役所広司が主演で、山﨑賢人、竹内涼真らが出演していました。
『ノーサイド・ゲーム』
トキワ自動車の君嶋隼人は、ラグビー部・アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに…。ラグビー知識ゼロの君嶋は、悪戦苦闘していくことになります。
ドラマではTBS日曜劇場で、大泉洋が主演、松たか子らが出演していました。
『ルーズヴェルト・ゲーム』
青島製作所は、大手ライバル企業に攻勢を仕掛られて、業績不振に陥っていた…。そこでやり玉に上がったのが歴史ある野球部。かつて名門チームだったが、エースも居ない状態で崩壊寸前だったのでした。奇跡の大逆転は起こるのか?
ドラマではTBS日曜劇場で、唐沢寿明が主演、檀れいらが出演していました。
『株価暴落』
巨大スーパーの一風堂を連続爆破事件が襲う。企業テロをにおわせた犯行声明によって、株価は暴落した。一風堂の支援をめぐって、白水銀行審査部の板東は、企画部の二戸と対立する。かなり骨太な作品。
WOWOWドラマでは、織田裕二が主演。アツいです。
『鉄の骨』
中堅ゼネコン一松組の富島平太が異動したのは、談合課といわれる公共事業の受注課だった。そして社運をかけた地下鉄工事の入札がはじまるが、談合の壁が立ちはだかる。若きゼネコンマンを通して、談合の実像に迫っていきます。組織に殉じるか、正義を貫くかが試されます。
WOWOWドラマ版では神木隆之介が主演。
『シャイロックの子供たち』
とある銀行の支店で起きた事件。現金紛失によって女子工員に疑いがかかるものの、別の男が失踪する。銀行でいったい何が起こったのか?
池井戸潤が人を描くことのおもしろさに気づいたという作品。作家が物語のために置いた人物だとしても読み手にとっては1人の人。人間の深みを描いていくことになります。
2023年2月、阿部サダヲ主演で映画が公開されます。
『果つる底なき』
債権回収担当の銀行員・坂本が、アレルギー性ショックで死んだ。坂本は、研修時代からの友人である伊木に「これは貸しだからな」と謎の言葉を残していた。伊木は、死の理由を探っていく。
池井戸潤のデビュー作。ミステリー性が高く、一気に読めてしまうのはさすがです。第44回江戸川乱歩賞を受賞。
『BT’63』
池井戸潤のタイムスリップもの!大間木琢磨が父の謎のカギを手にすると、40年前へ…。若き日の父と出会うことになります。
運送会社の新規事業や恋模様を垣間見るが、父には恐ろしい闇が迫っていることがわかってくるんですね。琢磨は父の秘密への迫っていきます。父と子が織りなす感動物語に、涙なしでは読めないです。
『かばん屋の相続』
短編集。6つの作品が収録されています。表題作をまず読んでほしいです。父がおこした鞄屋を継ぐのを嫌がって大手銀行に就職した兄。鞄屋をずっと支え続けた弟。父親亡くなり、その遺言状には、鞄屋を兄に継がせるとありました。いったいなぜ?銀行員側からの視点で、この謎が明かされていきます。ミステリー要素がありながら、人間の業が見せられる作品になっています。
ほかも銀行員が主人公でありながら、金融の知識だけではない人間ドラマが展開されます。
『最終退行』
都市銀行のなかでも負け組といわれる東京第一銀行の副支店長・蓮沼は、本部からの締めつけと、不況に苦しむ取引先や現場銀行員との板挟みにあっていた。かつての頭取が私腹をこやし不正をしていることを知り、蓮沼は反旗を翻すことになります。
日本型金融システムの崩壊を感じさせ、サラリーマン社会の欠陥が浮かび上がる内容になっています。
『仇敵』
エリートバンカーの恋窪は、いわれなき罪を着せられ、メガバンクを辞職することに。地方銀行よ庶務行員として静かな生活を送っていました。だが元同僚の死により、かつて自分を陥れた人物との闘いに足を踏み入れていきます。
『架空通貨』
女子高生の麻紀の父が経営する会社が破綻しました。円以上の価値を持った闇の金によって、人や企業、銀行が支配された街。
SF要素を盛り込みながらもさすがの設定の細かさです。
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