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『新規事業ワークブック』は超実践的な手引書だった

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新規事業を考えろ!

ある程度の規模の会社なら、取り組まないといけないのが新規事業です。考えるべきシチュエーションになったことがある方に本書をお勧めしたい。

本書の著者である石川明さんは、リクルートで1000件もの新規事業案に携わり、All About創業にも関わっています。新規事業の鬼ですね。

特徴としてはワークブック形式になっていること。書き込み式でも使えるので、すぐ既存事業の延長線上で考える方法が書かれています。企業内起業を考えている人にとってはかなり実用的! 痒いところに手がとどく内容になっていますよ。

ざっくり3行でまとめると…

  1. 新規事業を考え実現していく上で、かなり役立つ内容。
  2. ワークブック形式だから書き込みながら発想していける。
  3. 国語、算数、理科、社会を思考することが大事で、特に国語で”不”を捉えていくべき。

新規事業の検討を阻む5つの壁

まずは新規事業の5つの壁を紹介してくれます。かなり”あるある”なシチュエーションが並びます。それぞれ壁を越えるためのコツも合わせて。

目次

1.着想の壁

新規事業担当になったものの何から始めればいいか分からない。しかも自由な発想でとか言われると検討の幅が広がりすぎる。これってよくある話。何から着想すればいいのか、その足がかりが必要。

コツ:経営陣との対話を大切にして条件を明確にする

2.商機の壁

自社の経営課題から考えても新規事業の方向性は見えない。市場のマクロ的な分析から入っても他社も同じなので競合がいる可能性高い。この2つは袋小路になりがち。

コツ:世の中の「不」に着目する。誰がいつ、どこでどんな不を抱えているのか?

3.アイデアの壁

どんな発想法も属人的なセンスに頼るところはある。

コツ:解消する不をフォーカスし深掘りすることでアイデアを出しやすくなる。

4.承認の壁

社内で未知のものに対して承認するのは経営陣として難しい上に、既存事業と競合になるとさらにハードルが上がる。

コツ:ロジカルに考え、顧客と市場を味方につける。顧客志向こそが金科玉条

5.実現の壁

事業化を実現し、サービスを送り出す。

コツ:ポジティブに考え、この人のためになんとかしたいという「愛情」や今の世の中は間違っているといった「義憤」の強い気持ちを持つ

STEP1 新規事業の検討をはじめる前の準備

さてワークブックのSTEP1です。検討を始める前に、新規事業の目的と今の会社のリソースをチェック。

1.何を目指すのか?

新規事業計画の確認ポイント。以下の要素を経営陣とすり合わせていきます。

  • 検討範囲(ユーザ対象、事業エリア、業種業態、取扱い商材、課金形態、ビジネスモデル)
  • 目指す事業規模
  • 収益化までの期間
  • 投資規模
  • これらの項目をそれぞれフェアウェイ、OBゾーン、制約条件の3つを埋めていく

2.どうやって進めるか?

事業化までのミッションを把握しておく。要はゴールまでのスケジュール整理ですね。

  • ミッションの確認
  • 検討する領域を決める
  • 検討するテーマを決める
  • 事業案を作る
  • 社内承認をとる
  • 事業化する
  • これらをそれぞれ、何を決めるか、どの場で決めるか、いつまでにを埋めていく

STEP2 検討する領域・テーマを決める

深掘りするのはどこなのか、絞っていきます。その方法を本書の中から2つだけ。

1. 5W2H展開法

  • 既存事業を5W2H(誰、いつ、どこで、何を、どうやって、いくらで、なぜ)で説明してみる。5W2Hの各項目ごとに、もしこの項目だけを変えたらどうなるかを考える。
  • 有望そうな変更案を1つ選ぶ。
  • 変更案に合わせて他の項目も必要なら変更案を考える
  • 5W2Hを再度組み立て直す
  • 効果:既存事業を軸に強制的に発想を拡げることができる
  • ポイント:ブレストのつもりで大胆に発想してみる!

2. 9種類のアンゾフ・マトリックス

  • 既存事業を4W2Hで定義する(どこ、誰、いつを「市場」、何、どうやって、いくらでを「手法」)
  • 3つずつ分けた市場と手法からそれぞれ1つずつを選び出す
    選んだ2軸でマトリックスを描く
  • 9種類のマトリックを描く 市場3つ、手法3つ
  • もっともしっくりくる4象限マトリックスを1つ選ぶ
  • 効果:既存事業を異なる言葉で定義し直すことで新たな発想を得る
  • ポイント:異なる2軸でシンプルに既存事業を捉え直す

STEP3 検討した領域・テーマにおける、ビジネスチャンスを見つける

ここからビジネスチャンスがあるかを詰めていきます。本書の肝と言っていい国語・算数・理科・社会での思考法になります。

1限目:国語/”不”をしっかりと捉える

STEP2で割り出した領域・テーマで、誰が、どこで、何に、どう困っているのかを明らかにしていきます。不をとにかく洗い出す。以下のようなマインドマップ的アプローチなどを使っていきます。

  • 思いつくままランダムに不を付箋に書いていく。
  • 付箋を並べて関係付ける
  • 関係付けた中で、不がないか新たに付箋を書き足していく
  • 全体を見て抜けている視点を探す

2限目:算数/”不”の総量を測り、ビジネスになるか判断する

これが不の大きさとなります。

  • ”不”を抱えた人の数
  • 頻度の高さ
  • 深刻さ

3限目:理科/”不”が生じる理由を探る

”不”の理由を解明するには、ロジカルシンキングが重要になってきます。

  • 不が生じている外因的な事実から理由を探る
  • 不を感じる人の個人的な内因的事情を探る
  • 結果として不と感じるに至る心情を理解する
  • 他にも理由がないか考えてみる

4限目:社会/”なぜその”不”は解決されてこなかったのか

理由も明らかになっていて、解消されているはずのものが解消されていない、という場合、しかるべき背景が必ずあります。この背景をおさえる際によく使われるのがPEST分析です。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

これら4つの側面から見ていきます。

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

かなり実用的で考えるための土台になる内容。あと自分の” WANT”と”CAN”、周りからの”NEED”のバランスを意識するというのが提示されていて、新規事業とは属人性があっていいということが分かります。ハードルのある新規事業を考えるための手引書!

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