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『すいません、ほぼ日の経営』心がホッとする稀有なビジネス書

ものすごい糸井重里さんの語り口が気持ちいい。

誰よりも早く手をつけて成功すべし、という時代の流れに対して「もう少し落ち着いてもいいんじゃないでしょうか」と語りかけてくれます。

読んでると心がホッとするんですね。こんなビジネス書なかなかないです。

ほぼ日のプロジェクトはどう生まれる?

プロジェクトは、誰かが「これをやりたい」と思ったときに、もう発生していると、言います。糸井さんのアドバイスもありますが、まったく的外れではない、方向が決まっていればOK。だから、「おもしろいかの物差しはとりたててありません」と断言している。これってけっこうすごいことでは?どう判断するの、という話なので。だって、「マーケティングをまったくしない」そうで、ターゲットとなる顧客を明確にしないわけです。

で、何を大事にしているのか?

自分がお客さんになったら本当によろこぶかどうかを、本気で考えることにしています。

そうスタートは、自分がどう思うかなんですね。ここに立ち返る。

判断基準に、「いいか悪い」は取り入れないのも象徴的。なぜなら、悪いより良いを選ぶに決まっているから。好きなのかを考えることが大切ということを徹底しています。

心が宿っているかどうか

ほぼ日手帳が安価で大量生産されたらどうするのか?と質問されることも多いそうです。そういったとき、糸井さんは「心の問題が大事」と返しているそうです。心が宿っていると感じるのは、人の心がそこで動いてる、つまりアイデアになっているから。

イデアというのは、まずじぶんが「これでやっていけるかもしれない」と未来につながるなにかを感じて、そこに「頑張れば芽がでる」という力が込められて、そこで初めてつよさを持つ。

そもそもほぼ日手帳は、手帳じゃないんですね。「みんなのライフ」が書かれているのです。

1日1ページ書かれたことはライブだけれど、それをミルフィーユのように重ねていったらライフになる。

ほぼ日の経営理念

ほぼ日のコンテンツの生み出し方は、集合、動機、実行があることで成立します。

  • ほぼ日はコンテンツへの読者の反応から(集合)
  • 消費者の普段の生活への洞察を引き出して自分たちの動機とすり合わせ(動機)
  • 社内や、外の人と組んだりしながら、新しいコンテンツを生み出す(実行)

で、提供したコンテンツに対して顧客からフィードバックをもらい、素早く動機と実行につなげることで集合を生み出し、次の企画へとつなげます。こうやって、往復運動を繰り返して循環させていくことでほぼ日のコンテンツは生まれているのですね。

なぜ上場したのか?

ほぼ日が上場したのはちょっとした驚きでした。ほぼ日のスタンスと、株主を満足させるビジネスがうまく合致しなかったんですね。だけど、糸井さんは「いまを生きる会社でないと、やっていく資格がないかもしれない」と思ったそうです。

ぼくは上場を、企業がつよくなるためのエクササイズのようなものだととらえることができないかと考えたんです。

上場をこんなふうに捉える人っています?常識を疑う意識を持って、会社経営をするって、おもしろいなと感じます。

稀有なビジネス書

ビジネス書というとどうしても成功するために!となりがちですけど、本書はほぼ日の経営理念と同様に、多様なビジネスの在り方を提示してくれます。ビジネス書としてはかなり稀有。

読んでいて、理想を実現していこうとしていると、勇気をもらうことができます。おすすめです!

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