ドラマ『全領域異常解決室』は、藤原竜也が主演を務める本格ミステリー。
実は神さまだらけの世界だということが、途中から種明かしされました。それぞれどんな神さまなのか、解説していきたいと思います。
フジテレビ系で毎週水曜よる10時から放送。
ゼンケツメンバー
ゼンケツメンバーについて、どのような神さまなのか、解説していきます。
興玉雅(藤原竜也)/興玉神(おきたまのかみ)
興玉神は、猿田毘古神に関連する神であり、岩そのものが神格化した存在とされています。神道の中では「神籬(ひもろぎ)」や「磐座(いわくら)」と呼ばれる神聖な岩があるんですね。
興玉雅が持つ「人の善意と悪意を見極める」能力は、興玉神の浄化を反映しているといえるでしょう。また興玉と芹田が、「腐れ縁」といっていたのも、興玉神と猿田毘古神の関係性からの縁だと思われます。
興玉雅(藤原竜也)/天石戸別神(あまのいわとわけのかみ)
興玉の真の姿が、天石戸別神でした。天石戸別神は、この世とあの世をつなぐ門を守る役割を持っています。災いや病気を防ぎ、安全を保証する存在として知られています。
そもそも天石戸別神は、天照大御神が隠れた「天岩戸」を神格化した神なんですね。「古事記」では、宮殿の門を守護する神として登場します。
雨野小夢(広瀬アリス)/天宇受売命(あめのうずめのみこと)
天宇受売命は、芸能の神です。踊りによってアマテラスを岩戸から誘い出したことで知られています。そのときの踊りは、桶を逆さにしてその上に立って、足を踏み鳴らしながら踊ったとされています。
雨野の「踊りと鈴の音で神さまを呼び出す能力」は、天宇受売命の要素からです。また雨野は、警視庁音楽隊カラーガード(通称MEC)に所属しました。雨野は踊ることが大好きで、日常における人々の安全や防犯を呼びかける警視庁音楽隊にダンスを通じて携わりたいという思いから警察官になったんですね。天宇受売命の特徴とリンクしています。
宇喜之民生(小日向文世)/宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
宇迦之御魂神は、農業や食物を司る神であり、商売繁盛の守護神としても知られています。お稲荷さんとして、親しまれている存在ですよね。
宇喜之が料理上手な一面を持っているのは、この神の要素です。
さらに宇喜之は地面にヒビが入るほどのパワーがあることがわかりました。宇迦之御魂神は、須佐之男命と神大市比売との間に生まれた子です。須佐之男命の力を受け継いでいるんですね。
豊玉妃花(福本莉子)/豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)
豊玉毘売命は、海神の娘です。だから豊玉は「水を自在に操る能力」を持っているんですね。攻撃や防御にも用いられるこの能力は、彼女の出自と密接に関係しています。
豊玉が巫女として神社で働いている点も、豊玉毘売命の神聖なイメージが表れています。
芹田正彦(迫田孝也) /猿田毘古神(さるたひこのかみ)
猿田毘古神は、道案内や交通安全を司る神さまです。芹田は、目的地を知らなくても依頼者を導く能力があります。
神話では、天孫降臨の際に、猿田毘古神が道案内を務めたエピソードが有名です。そのとき、猿田毘古神に立ち向かったのが、天宇受売命でした。2人が夫婦関係になったのも、このことがきっかけです。
重要な神たち
重要な神たちを解説していきます。
ヒルコ(蛭子神)
蛭子神は、イザナギとイザナミの間に生まれた子どもです。天の御柱(あめのみはしら)で初めて交わった際に生まれましたが、手足が不自由だったため、葦の船に乗せられ流されてしまいます。
その後の神話には登場せず、憎しみの象徴のようにも捉えられる存在です。
大隈邦男(吉田鋼太郎)/大国主命(おおくにぬしのみこと)
大国主命は、出雲神話を代表する重要な神で、国造りを行った神として知られています。また、縁結びや医療、再生の神としても崇められています。この背景から、大隈邦男を医者として描く設定は、大国主命の医療に関する側面を現代風に巧みにアレンジしたものといえます。
大国主命は「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」の神話でも有名です。傷ついた兎に薬草を使い治療を施す心優しい一面を持っています。
佃未世(石田ひかり)/月読命(つくよみのみこと)
月読命は、イザナギが黄泉の国から帰還した際に生まれた神さまです。アマテラスやスサノオと兄弟関係にあります。佃は、月光の下で時間を戻す能力を持っていました。これは月読命が、暦や時の管理に関わる神だからです。
月読命は、イザナギが黄泉の国から帰り、身を清めた際に生まれた神々の一人で、アマテラスやスサノヲと同時に誕生しました。イザナギは、アマテラスに高天原、ツクヨミに夜の国、スサノヲに海を治めるよう命じます。しかし、『古事記』では、アマテラスやスサノヲが活躍する一方、ツクヨミはあまりフォーカスが当たりません。
神隠しにあった神たち
ヒルコによって神隠しにあった神たち。それぞれ神話では、重要な位置づけにある神になります。
大守浩志/大物主神(おおものぬしのかみ)
大物主神は、国づくりを助けた神になります。日本書紀では蛇神だったと明かされていました。大守は、関東医科大学理事長という肩書きなのは、国の中枢を担っているということになるでしょう。
石狩愛実/伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)
伊斯許理度売命は、石を固める女神です。天の岩戸で天照大御神に差し出すための八咫鏡を作ったのが、伊斯許理度売命です。八咫鏡は、天皇家の三種の神器になります。石狩がジュエリーデザイナーなのは、このエピソードからでしょう。
健実和生/建御雷(たけみかづち)
建御雷は、アマテラスの命で大国主に国を譲る交渉を行った神です。その働きにより国譲りが達成されました。剣の上に座り相手を圧倒したことから、剣の神としても知られています。健実が政治家で元格闘家なのは、まさに建御雷の要素になります。
大月比呂佳/大気都比売神(おおげつひめのかみ)
大気都比売神は、五穀を生み出した神です。高天原を追放された須佐之男に食事を提供したエピソードがあります。大月がゼンケツメンバーに料理を提供していて、おいしいおにぎりが印象的だったのは、まさにこの神ならではです。
刀田楓真/布刀玉命(ふとだまのみこと)
布刀玉命は、天岩戸の対応を占った神さまです。天孫降臨のときには、天孫に付き従っていて、重要神といえるでしょう。刀田は、大手広告代理店社長です。天宇受売命は、布刀玉命の子だともされています。
神さまを知ることでドラマが楽しめる
ドラマ『全領域異常解決室』では、日本の神たちの歴史が背景にあります。
登場人物の能力や関係性が、神話を背景にしているので、日本の神々について知ることで、ドラマがさらに楽しめるようになります。
世界観がしっかりしているドラマで、最終回までさまざまな神さまが登場すると思うので、背景を知りながら楽しんでいきましょう。
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