ドラマ『あなたを奪ったその日から』は、娘を失った母親が、原因を作った相手の家族に近づいていく話です。復讐劇なのに、いちばん描かれるのは「できないこと」なんですよね。各話を簡単にまとめたうえで、その構造を考えます。
ドラマ『あなたを奪ったその日から』あらすじ
保育園で働く母親が、食物アレルギーによる事故で幼い娘を失います。責任があると考えた相手への復讐を決意しますが、実際にその場に立つと手が動かない。やがて相手側の子どもに、亡くした娘の面影を重ねてしまいます。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:紘海が娘を事故で失い、原因となった相手を知る
- 2話:復讐しようとするができず、相手の子に娘を重ねてしまう
【感想】北川景子の「怒りきれない顔」
この作品、主人公が復讐に向いていないんですよね。動機は十分すぎるほどあるのに、実行できない。
北川景子さんは、その中途半端さを演じます。憎しみが本物であることと、手が動かないことが同居している。迷っているのではなく、憎みながらできない。この状態をきちんと見せてくるのが良いです。
加害側の子どもを置く残酷さ
構成として一番きついのが、相手の側にも子どもがいることです。その子に罪はない。
しかも亡くした娘と重なってしまう。憎むべき相手の中に、失ったものの面影がある。この設定を思いついた時点で、この作品は成立していると思います。
【考察】この作品の主題は「悲しみの行き場」
私は、この作品が描いているのは復讐ではなく、処理できない感情の置き場所だと考えています。理由が2つあります。
理由①事故には明確な悪意がない
娘を失った原因は、殺意のある犯罪ではありません。だから憎む相手が定まらない。
誰かが意図してやったことなら、その人を憎めば済みます。ところが過失の場合、怒りの行き先が見つからない。復讐したいのに、復讐が成立しないという状態が、この作品の出発点なんですよね。
理由②相手の子に向かってしまう
もうひとつ、行き場のない感情が、最も関係のない相手に向かおうとします。そして向けきれずに、今度は保護の感情に変わる。
憎しみと愛情が同じ対象に同時に向かう。これは感情が正しく処理されていない証拠で、喪失の痛みが形を変えて出ているのだと思います。
【考察】タイトルが「その日から」である意味
タイトルは、奪われたという事実ではなく、その後に続く時間を指しています。
事故は一瞬ですが、そこから先の人生は長い。この作品が描こうとしているのは、事件そのものではなく、その後をどう生きるかなんですよね。だから復讐が達成されるかどうかは、たぶん主題ではないのだと思います。
ドラマ『あなたを奪ったその日から』登場人物
- 中越紘海(北川景子)
- 東 砂羽(仁村紗和)
- 結城梨々子(平 祐奈)
- 玖村 毅(阿部亮平)
- 鷲尾 勇(水澤紳吾)
- 野口初芽(小川李奈)
- 中越美海/結城萌子(一色香澄)
- 村杉結愛(田山由起)
- 鳥谷陸翔(内藤秀一郎)
- 小石川雪子(原 日出子)
- 木戸江身子(鶴田真由)
- 三浦勝昭(大浦龍宇一)
- 木戸雅人(中原丈雄)
- 望月耕輔(筒井道隆)
- 結城 旭(大森南朋)
ドラマ『あなたを奪ったその日から』スタッフ・主題歌
- 脚本:池田奈津子
- 音楽:村松崇継
- 演出:松木 創、淵上正人、本間利幸、大崎 翔
- 主題歌:back number『ブルーアンバー』(ユニバーサル シグマ)
- 企画:水野綾子
- プロデューサー:三方祐人
- 制作:カンテレ/共同テレビ
『あなたを奪ったその日から』は感情の行き場の話
というわけで、ドラマ『あなたを奪ったその日から』の感想と考察でした。復讐劇の形をしていますが、本質は喪失の物語だと思います。皆さんはどう見たでしょうか。

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