『VIVANT』第21話のあと、第22話の予告に気になるものが映りました。「そして――」というテロップに続いて現れた、本が積み上がった部屋と乃木の姿です。
一時停止して書名を追っていくと、とんでもないことに気づきます。並んでいる本の大半が、実在しない本なんです。今回はそこから先を考えます。
『VIVANT』第21話のあらすじ
乃木たちは敵の封鎖をかいくぐり、空港からの脱出を図ります。危機を救ったある人物が、自ら残る道を選びます。そして次回予告では、これまでとまったく違う場所が映し出されます。
【感想】予告だけで考察させる作りがうまい
本編の余韻に浸る間もなく、予告でまったく別の話題を投げてくる。この作品、こういうところが本当に巧いですよね。
しかも映っているのは人でも場所でもなく、本の背表紙です。読み取れた人だけが先に進める仕掛けになっている。視聴者を参加させる作り方として、かなり挑戦的だと思います。
【考察】並んでいた書名が示すもの
判読されている書名を挙げます。
- 『ノアの方舟 世界の洪水伝説』
- 『ノアの羅針盤』
- 『ノア最後の航海記』
- 『方舟に乗れなかった者たち』
- 『創世記の余白』
- 『日本書紀(上)』
- 『島根の洪水伝説』
このうち『日本書紀』以外は、調べても実在しません。すべて美術が作った架空の本です。
架空にしたこと自体が答えになっている
実在の本を並べるほうが、美術の手間としては少なくて済みます。わざわざ架空の書名を作ったということは、タイトルそのものに意味を持たせたかったということです。
背表紙を読ませて、内容を想像させる。制作側からの手紙みたいなものですね。
『方舟に乗れなかった者たち』という題
この一冊が突き刺さります。
方舟の物語は、選ばれた者が生き延びる話です。裏を返せば、選ばれなかった者たちが必ずいる。テントという組織が、居場所のない人間を集めてできたことを思えば、この書名が何を指しているかは明らかでしょう。
ベキが作ろうとしたものの正体が、ここに書いてある気がします。
【考察】なぜ奥出雲につながるのか
私は、物語の最後が奥出雲に帰ると考えています。理由は3つあります。
理由① 乃木が言いかけて遮られている
第2シーズンの序盤、乃木は方舟伝説に興味を持った理由を話しかけています。「そうなんだ、奥出雲の実家で……」。ここでノコルに遮られて、話はそのまま終わっています。
回収されていない台詞が、終盤になって予告の本棚とつながった。偶然ではないでしょう。
理由② 棚に『島根の洪水伝説』が混ざっている
聖書関連の本に並んで、島根の本と『日本書紀』が置かれている。この組み合わせが決定的です。
洪水で世界が滅び、生き残った者が新しい世界を作る。この構造は世界中の神話にあります。奥出雲にも、洪水にまつわる伝承がある。斐伊川の氾濫を題材にした話です。
棚の並びは「方舟の話は西洋だけのものではない」と言っているように見えます。
理由③ ベキも同じ関心を持っていた
乃木が方舟伝説の話をしたとき、ノコルは「父さんと一緒だな」と返しました。ベキも同じものを追っていたということです。
父が追い、息子も追った。そして乃木家の本家は奥出雲にあり、たたら製鉄の家として続いてきた。この一族が何かを守ってきたのだとすれば、最後にそこへ戻るのが筋でしょう。
【考察】あの部屋は誰の書斎なのか
残る疑問は、あの部屋がどこなのかです。
私は奥出雲の乃木家だと考えています。乃木が立っているうえに、棚の構成が個人の蔵書というより代々集められたものに見えるからです。
予告では、乃木の前に誰かが現れたようにも見えました。そこで待っているのが誰なのか。物語の最後の鍵は、そこにあると思っています。
第21話の予告は本編以上の情報量だった
背表紙を並べるだけで、ここまで考えさせる。制作陣の仕込みの深さには毎回驚かされます。
棚の本が本編でどう使われるのか、それとも最後まで背景のままなのか。確かめたいと思います。詳しい展開はぜひ本編でご覧ください。

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