『LOST10』第1話、最後の1分で一気に引き込まれましたね。遭難事故を追う話だと思って見ていたら、まったく別の輪郭が浮かび上がってきました。
ただ、あの終わり方をそのまま受け取るのは早いと思っています。今回はそこを考えていきます。
『LOST10』第1話のあらすじ
北海道の支樺岳で、下山中の登山ツアーが悪天候に遭い、一行が分断されます。所轄の刑事・小駒と保険調査員・直が、それぞれの立場から事故を追いはじめます。捜索が進むなかで、この遭難が事故ではないことを示す事実が明らかになります。
【感想】横浜流星さんと小栗旬さんの距離感がいい
同じ方向を見ていない二人
秋ドラマの本命に挙げていた作品ですが、期待どおりでした。
とくに良かったのが、横浜流星さんと小栗旬さんの立ち位置です。刑事と保険調査員。どちらも真相を追っているのに、見ているものが違う。小駒は人を助けようとしていて、直は金の流れを見ている。このズレがそのまま緊張になっているのがうまいですね。
小栗旬さんの、感情を一切乗せずに事実だけを並べていく話し方も効いています。あの淡々とした調子があるから、最後の一言が重く響く。
中村アンさんの見え方が変わる
中村アンさんの芝居も印象的でした。救出されたときの弱々しさと、終盤で見せる表情。同じ人物なのに、情報が足されただけでまったく違う人に見えてくる。
これは演じ方というより、視聴者の見方を操作する演出の勝利だと思います。1話の時点でここまでやるのかと感心しました。
【考察】犯人は亜矢ではない
さて本題です。私は犯人が猿渡亜矢(中村アン)ではないと考えています。理由は3つあります。
理由① バレ方があまりにも雑
4人分の受取人が自分だという事実は、保険会社が契約を確認すれば即座に分かります。隠しようがありません。
殺人を計画する人間が、真っ先に自分へ矢印が向く形を選ぶでしょうか。しかも調査が入ることは分かりきっている。この雑さは、計画した人の仕事には見えません。
理由② 本人が死にかけている
亜矢は腕を骨折した状態で3日間、山中に取り残されていました。発見があと1日遅れていたら助かっていない可能性もあります。
保険金を受け取るためには、生きて下山する必要があります。自分の生存を運任せにする計画は成立しません。
理由③ 持ち物と本人の位置が合わない
いちばん引っかかったのがここです。亜矢の持ち物は東側の沢で見つかったのに、本人は尾根で発見されています。
落として転がったにしては離れすぎている。誰かが意図的に置いたと考えるほうが自然です。そして置いた理由があるとすれば、亜矢に疑いを向けるため以外にありません。
【考察】真犯人は田畠元香
では誰か。私は田畠元香(飯豊まりえ)だと考えています。
この人物だけが3つの条件をすべて満たします。
ひとつめは動機。娘の治療にまとまった金が要ります。金額の切実さという点で、他の誰よりも強い。
ふたつめは立場。ツアーガイドは参加者の保険手続きに関われます。受取人の欄に誰の名前を書くかを握れる人間は、そう多くありません。亜矢の名前が並んだ理由も、これなら説明がつきます。山中で飲み物に何かを混ぜられる立場でもある。
みっつめは自分も被害者であること。これが最大の仕掛けです。意識不明で発見された人間を、普通は疑いません。重体であることが、そのまま最良の隠れ蓑になっている。
亜矢の持ち物を沢に置いたのも、同じ発想でしょう。自分は助からないかもしれない場所に身を置いてまで、疑いを他人に向けた。計画としては相当に冷たい。
【考察】なぜ「保険金殺人」という言葉で終わらせたのか
もうひとつ気になるのが、1話のラストに置かれた言葉です。
普通、この手の作品は真相の方向を最後まで伏せます。それをあえて「保険金殺人」と言わせた。答えを先に出すタイプの構成です。
つまりこの作品が描きたいのは「何が起きたか」ではなく、「なぜそこまでしたか」のほうなのだと思います。金が目的と見せておいて、その奥にもう一段ある。残り話数の長さを考えると、そう見るのが自然です。
第1話は答えを先に見せてきた回だった
遭難ミステリーとして始まり、1話の終わりには保険金殺人の話になっている。この速さは、まだ先に大きな展開があることの裏返しでしょう。
亜矢が仕組まれた側だとすれば、彼女が誰をかばっているのかも気になります。次回も楽しみです。詳しい展開はぜひ本編でご覧ください。

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