ドラマ『無能の鷹』は、できる人にしか見えない無能な新入社員をめぐる話です。設定が一発ネタに見えて、意外と長く持つんですよね。各話を簡単にまとめたうえで、その仕掛けについて考えます。
ドラマ『無能の鷹』あらすじ
圧倒的にできる人の雰囲気をまとった新入社員が入社してきます。ところが実務はまったくできない。周囲は誤解したまま持ち上げ、本人は悪びれない。この噛み合わなさが、なぜか会社を回してしまいます。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:鶸田が入社し、できる人に見える鷹野と同じ部署になる
- 2話:教育係が、鷹野の実態に直面する
- 3話:鷹野の無能ぶりが演技ではないかと疑う人物が現れる
- 4話:要領よく立ち回る先輩との対比が描かれる
- 5話:社内の人間関係が、鷹野を軸に動きはじめる
- 6話:社外の相手と向き合い、鷹野の存在が思わぬ効果を生む
- 7話:それぞれの社員が抱える問題が表に出てくる
【感想】菜々緒が「何も考えていない顔」をやり切る
この役、菜々緒さん以外にできる人がいるのかと思いました。立ち姿、目線、話し方、どれを取っても有能そのもの。
それでいて中身が空っぽ。本人にまったく悪気がないのが最高なんですよね。騙そうとしていないのに、勝手に誤解される。この無邪気さがあるから、嫌味なコメディにならずに済んでいます。
周囲のリアクションで持たせる構成
鷹野本人は変化しません。変わるのは、彼女をどう扱うかを迫られる周囲のほうです。
だから毎回違う社員に焦点が当たり、群像劇として広がっていく。一発ネタで終わらせない工夫がここにあると思います。
【考察】この作品の主題は「評価はどう作られるか」
私は、この作品が笑っているのは無能な個人ではなく、それを有能だと判断してしまう組織だと考えています。理由が2つあります。
理由①誰も成果物を確認していない
鷹野が有能だと思われ続けるのは、誰も彼女の実際の仕事を確認していないからです。
雰囲気、肩書き、態度。判断材料がそれだけになっている。これは会社という組織への、かなり強烈な皮肉だと思います。
理由②本当に有能な人は評価されていない
もうひとつ重要なのが、地道に実務をこなす社員ほど目立たないという描写です。成果と評価が一致していない。
鷹野は、その歪みを可視化するための装置なんですよね。彼女が悪いのではなく、彼女を正しく評価できない仕組みのほうが問題だという構図です。
【考察】それでも組織が回ってしまう皮肉
いちばん面白いのは、鷹野がいることで結果的に物事がうまく進む回があることです。
本人は何もしていないのに、周囲が勝手に動いて解決する。つまり組織は、能力ではなく相互作用で動いているということですよね。笑いながら、わりと怖いことを言っている作品だと思います。
ドラマ『無能の鷹』登場人物
- 鷹野ツメ子(菜々緒):新入社員。有能そうだが無能。
- 鶸田道人(塩野瑛久):努力家だが実績がついてこない。
- 雉谷耕太(工藤阿須加):鶸田の指導係の中堅社員。
- 鵜飼朱音(さとうほなみ):中堅社員。
- 梟井重蔵(鈴木理学):営業部員。独身。
- 白鳥京香(相馬有紀実):営業部員。ポジティブ。
- 朱雀又一郎(高橋克実):部長。鷹野を採用した張本人。
- 鳩山樹(井浦新):鷹野の指導係のベテラン社員。
- 烏森皇子(永田崇人):人事部員。愛されキャラだが計算高い。
- 鵙尾弓(土居志央梨):エンジニア。鵜飼の同期。
- 鵤流星(宮尾俊太郎):エンジニア。常識的な行動をとる。
- 鴫石郁(安藤玉恵):部長。鳩山の同期。
ドラマ『無能の鷹』スタッフ・主題歌
- 原作:はんざき朝未『無能の鷹』(講談社「Kiss」連載)
- 脚本:根本ノンジ
- 音楽:鈴木真人
- 主題歌:ざらめ「まずは今日から」(ソニー・ミュージックレーベルズ / BEAT SEEKER MUSIC)
- 演出:村尾嘉昭、棚澤孝義、高橋由妃
- エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
- プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
- 制作著作:テレビ朝日、MMJ
『無能の鷹』は評価のつくられ方の話
というわけで、ドラマ『無能の鷹』の感想と考察でした。コメディとして笑いながら、会社員は少し心当たりがある作品だと思います。皆さんはどう見たでしょうか。
