ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』は、映画の続きを連続ドラマで描くという珍しい形の作品です。原作の膨大なエピソードを、どう取捨選択するかが勝負なんですよね。各話を簡単にまとめたうえで、その判断について考えます。
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』あらすじ
金塊のありかを示す刺青を持つ囚人たちを追って、杉元とアシㇼパが北海道を旅します。同じ金塊を狙う複数の勢力が入り乱れ、行く先々で強敵と対峙することになります。旅の過程で、アシㇼパの父をめぐる事情も見えてきます。
各話あらすじ(簡易版)
各話の流れを簡単にまとめます。詳しい展開は本編でご覧ください。
- 1話:伝説の熊撃ちと対峙する
- 2話:漁場で次の囚人を追い、思わぬ相手と出会う
- 3話:アシㇼパの父の旧友が現れ、目的地が定まる
- 4話:札幌で別の勢力と接触し、危険な状況に陥る
- 5話:占いの力を持つ人物を仲間に加え、次の土地へ向かう
【感想】エピソードの選び方が的確
原作のこの範囲には、名物エピソードが大量にあります。全部やるのは不可能で、どれを落とすかが難しい。
そのなかで選ばれたのは、アシㇼパの父に関わる本筋と、キャラクターが強く立つ回でした。笑いに寄った回を一部削ってでも、縦軸を通すことを優先している。連続ドラマの尺として、正しい判断だと思います。
アイヌ文化の描写が丁寧
この作品で絶対に手を抜けないのが、文化の描写です。食事、道具、言葉、狩りの作法。
ここが雑だと原作の価値ごと損なわれますが、映像でもきちんと時間が割かれています。山田杏奈さんの所作も自然で、そこに説得力がありました。
【考察】この作品の主題は「奪う側と奪われた側」
私は、この物語の中心にあるのは宝探しではなく、土地と資源をめぐる収奪の構図だと考えています。理由が2つあります。
理由①金塊がアイヌから奪われたもの
そもそも追われている金塊は、もともとアイヌのものだったという前提があります。
つまり登場人物たちは、他人のものを奪い合っている。冒険譚の形をしていますが、根底には歴史的な収奪の問題があるんですよね。
理由②アシㇼパが同行する意味
もうひとつ重要なのが、奪われた側の人間が探索に加わっていることです。彼女の目的は金ではなく、父の真実です。
他の勢力が資源として見ているものを、彼女だけは別の意味で見ている。この視点の違いが作品の倫理を支えていると思います。
【考察】映画とドラマを分けた判断
この範囲を映画で続けず、連続ドラマにしたのは正解だったと思います。この物語は、旅の過程そのものが面白いからです。
強敵と出会い、倒し、また移動する。この反復には尺が要ります。2時間に圧縮すると、道中がただの繋ぎになってしまう。形式の選び方が作品に合っていたと思います。
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』登場人物
- 杉元佐一(山崎賢人):”不死身の杉元”の異名をとる元軍人。
- アシリパ(山田杏奈):アイヌの少女。
- 尾形百之助(眞栄田郷敦):大日本帝国陸軍第七師団上等兵。スナイパー。
- 白石由竹(矢本悠馬):”脱獄王”の異名を持つ天才脱獄犯。
- 月島基(工藤阿須加):大日本帝国陸軍第七師団軍曹。
- 二階堂浩平(柳俊太郎):大日本帝国陸軍第七師団一等卒。
- 奥山夏太郎(塩野瑛久):元ヤクザ。
- 谷垣源次郎(大谷亮平):東北マタギ出身の一等卒。
- インカラマッ(高橋メアリージュン):占いを得意とするアイヌの女。
- 家永カノ(桜井ユキ):札幌世界ホテルの女将。
- 牛山辰馬(勝矢):”不敗の牛山”と呼ばれる柔道の達人。
- キロランケ(池内博之):アシリパの父の友人で彼女を探す男。
- 永倉新八(木場勝己):元新選組二番隊組長。
- フチ(大方斐紗子):アシリパの祖母。
- 二瓶鉄造(藤本隆宏):”悪夢の熊撃ち”の異名を持つ狩人。
- 辺見和雄(萩原聖人):杉元の生きざまに心酔する男。
- 若山輝一郎(渋川清彦):賭場を牛耳るヤクザの親分。
- 仲沢達弥(木村知貴):凄腕の壺振り師。
- 江渡貝弥作(古川雄輝):天才的な剥製職人。
- 熊岸長庵(徳井優):腕利きの贋作師。
- 鈴川聖弘(山路和弘):変装の名手。詐欺師。
- チカパシ(青木凰):谷垣を慕うアイヌの少年。
- エディー・ダン(モーリー・ロバートソン):牧場経営者。
- 犬童四郎助(北村一輝):網走監獄を取り仕切る典獄。
- 鯉登音之進(中川大志):薩摩生まれの少尉。
- アチャ(井浦新):アシリパの父。
- 鶴見篤四郎(玉木宏):大日本帝国陸軍第七師団中尉。
- 土方歳三(舘ひろし):元新選組副長。”鬼の副長”。
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』スタッフ・主題歌
- 原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
- 監督:久保茂昭 片桐健滋 落合賢 佐藤洋輔
- 脚本:黒岩勉
- 音楽:やまだ豊 出羽良彰
- アイヌ語・文化監修:中川裕 秋辺デボ
- 製作著作:WOWOW
- 制作プロダクション:CREDEUS
『ゴールデンカムイ』は収奪をめぐる冒険譚
というわけで、ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』の感想と考察でした。実写化として、かなり成功している部類だと思います。皆さんはどう見たでしょうか。
